宇野昌磨は解き放たれた表現者 本田真凜、ステファン・ランビエールらとつくる『Ice Brave』で世界観全開
【解き放たれた表現者】
6月14日、愛知県長久手市。宇野昌磨は、自身初プロデュースのアイスショー『Ice Brave』で愛・地球博記念公園アイススケート場のリンクに立っていた。
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現役時代は全日本選手権で6度、世界選手権で2度も優勝し、五輪では日本のフィギュアスケート史上最多の3つのメダルを獲得。歴史に名を残すフィギュアスケーターがプロへ転向し、新しい一歩を踏み出していた。
「これが見どころっていうよりも、胸を張って『全部(が見どころ)です』と言えますね」
ショーが終わったあとの会見で宇野は高揚感をにじませた声でそう言った。照明を受けて、白い肌が輝く。ショーはエネルギッシュで楽しさに溢れて、まさに"宇野ワールド"だった。
「疲れきって回復しきれずに迎えた初日でしたが、みなさんの拍手や声援のおかげで力が出るというのを実感しました」
そう語る宇野は、競技者時代も会場の熱気を自らの力に還元できる選手だったが、プロとなって"エネルギーの変換率"が増したのかもしれない。
「表現者」。彼は解き放たれたのだーー。
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。