宇野昌磨は解き放たれた表現者 本田真凜、ステファン・ランビエールらとつくる『Ice Brave』で世界観全開 (5ページ目)
【宇野昌磨が持つ"無垢の才能"】
「こうしてアイスショーで、世界選手権で2回目優勝した時よりもたくさんの人に囲まれて」
彼はそう言って、記者たちの前でおどけた。相変わらず、ひと言ひと言に邪気がない。競技者時代から表現者になっても通底する人間性だ。
あらゆる経験をしながら、無垢でいられることこそ、彼の才能と言える。
「現役時代は自分で考えるようになって、練習内容とかもいろいろと試すようになり、どんな時に成長できたかって考えました。やっぱり、目標とやるべきことがマッチした、両方が重なった時だったんですよ。ふたつが合わさると、飛躍的に成長できました。
それがやりたいことだからで。"やるべき"だったら努力になっちゃうんですけど、"やりたい"って感情だと、それは努力じゃなくなってやりたいからやっているだけになる」
宇野は以前のインタビューでそう答えていた。その自由闊達さは、『Ice Brave』の精神にも通じる。宇野ワールドの真骨頂だ。今後、『Ice Brave』は6月21、22日に福岡公演、7月12、13日には新潟公演が決まっている。
『Ice Brave』は愛知公演を皮切りに、福岡、新潟でも開催されるこの記事に関連する写真を見る
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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