サッカー日本代表の構造が見えたアイスランド戦 久保建英が攻撃を牽引もチームとしての輝きはなし
5月31日、国立競技場。森保一監督率いるサッカー日本代表は、6月に開幕する北中米ワールドカップに向け、アイスランドと壮行試合を行ない、結果は1-0の勝利だった。試合内容自体は攻守ともにぱっとしなかったが。
「ケガをしたら元も子もない」
その意見は正しい。決戦を前に強度が下がるのは当然だろう。
「壮行試合は『いってらっしゃい』という気持ちを伝える舞台」
それも正しい。あくまで本番に向かう彼らを励まし、明るく送り出すべきだ。
「吉田麻也に花道を作るとは、とても日本的で美しい」
ひとりの功労者に対して礼を尽くすのも、否定することはないだろう。吉田は日本歴代最高のセンターバックとして功績を残している。両チームが合意のうえで彼を称えた行為だった。
しかし、アイスランド戦がワールドカップ前の最後の試合(合宿地のメキシコでは現時点でテストマッチは組まれていない)になるのだから、貴重な前哨戦だ。そこでの戦いは本大会を見据えたものである。ケガをしたら元も子もないし、「いってらっしゃい」の気持ちは大事だし、花道も美しいが、メディアはもっと冷静に中身を検証するべきだ。
アイスランド戦後のセレモニーで国立競技場の観衆に語りかける森保一監督 photo by Torao Kishiku「ひとりひとりがヒーローになるような気持ちで......」
試合後の取材エリアでは、主将である遠藤航がワールドカップ優勝の条件を語っていた。だが、ひとりひとりがヒーローになるには、"魂を込める"というエモーションだけでは十分ではない。チームとして、ヒーローが躍り出る骨格、回路、デザインがなかったら、それは幻に終わる。
では、アイスランド戦でヒーローになりそうな選手はいたか?
私見を言えば、久保建英は他の選手と一線を画していた。
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著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。


