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箱根駅伝で創価大学を頂点へ導く榎木和貴監督の戦略は? 中大時代は4年連続区間賞 (5ページ目)

  • 牧野 豊/取材・文 Text by Makino Yutaka

――駒大は昨季、田澤廉選手(当時4年、現・トヨタ自動車)が世界選手権代表(10000m)になりましたが、やはり代表クラスの選手も育成していきたい。

「箱根で勝っている大学がそこを目指しているのに、それより下の取り組みをしていては一生箱根では勝てないということです。トップチームがそこを目指している以上、やっぱり我々もそこに追いつくような取り組みをしないと、総合優勝なんて言えないと思っています」

――一方で箱根駅伝がなかなかオリンピックや世界選手権の長距離種目で日本が戦えない現状の一因になっているという意見も一部にありますが、その点はどう捉えていますか。

「箱根駅伝があるから、(個人種目で)海外に後れを取っているというのはちょっと視点が違うと思います。実際、10000m27分の自己ベストを持った留学生に対しても最初から攻めて押し切る駅伝仕様の走りをすれば、普通の5kmや10kmのロードレースと違い、タスキを持つことで能力以上の力を出すこともあるわけです。そういう力を個人にもつなげていくことが大切なのではないかと考えています」

――なぜ、これだけ人々が箱根駅伝に魅了されると思われますか。

「箱根は一つひとつの区間が、20km以上ありますし、コースにも特徴があるところが、まず一つ魅力としてあると思います。出雲駅伝や全日本大学駅伝と違って、1〜2カ月準備して出られる試合ではない。4年かけて、そこを目指す選手もいます。昨年、キャプテンを務めた緒方貴典は箱根駅伝に出るために創価大に入って、3年生まで出られなかったけど、最後に華開いた。そういう姿を報道の方が広く、多くの方々に伝え、これだけの思いを持って、箱根に賭ける選手の姿を通じて魅力が高まっているのではないかと感じます」


●プロフィール
榎木和貴(えのき・かずたか)/1974年6月生まれ。宮崎県出身。中大時代は主力として活躍し、1年時(1994年)から4年連続で出場した箱根駅伝では8区、8区、4区、4区に出走し全て区間賞(区間内で最速記録)を獲得。3年時の1996年には中大の32年ぶり14回目の総合優勝に貢献した。卒業後も実業団で現役を続け、現役引退後は実業団チームで指導。2019年2月に創価大学駅伝部監督に就任すると、1年目のシーズンの箱根駅伝(2020年)で9位となり、チーム史上初のシード権(9位)を獲得すると、翌年には往路優勝、総合でも残り2kmまでトップを走る2位に入った。監督就任から4年連続でシード権を獲得中。常に謙虚でありつつ、常に現実的な視点で選手育成を行う指導方針は高い評価を得ている。

著者プロフィール

  • 牧野 豊

    牧野 豊 (まきの・ゆたか)

    1970年、東京・神田生まれ。上智大卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。複数の専門誌に携わった後、「Jr.バスケットボール・マガジン」「スイミング・マガジン」「陸上競技マガジン」等5誌の編集長を歴任。NFLスーパーボウル、NBAファイナル、アジア大会、各競技の世界選手権のほか、2012年ロンドン、21年東京と夏季五輪2大会を現地取材。229月に退社し、現在はフリーランスのスポーツ専門編集者&ライターとして活動中。

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