サッカー日本代表の中国戦で思い出す20年前のアジアカップ「反日ブーイング」には別の意味も? (5ページ目)
【今回の中国戦は福建省厦門で開催】
あのアジアカップから20年が経過し、11月19日には福建省厦門(アモイ)で試合が行なわれる。
厦門は、かつて日本の勢力が強かった地域であり、戦争中にも大きな被害は受けていない。つまり、重慶や済南に比べれば反日感情は強くない。
しかし、現在の日中関係はかなり悪化しているし、経済の減速や失業者の増加によって中国社会には社会不安が高まっており、最近も、広東省の珠海や江蘇省の無錫で無差別殺傷事件が相次いで起こっている。
20年前には、中国はホームアドバンテージを生かしてアジアカップで決勝まで勝ち進むだけのチーム力があった。2002年にはW杯出場も果たしている。だが、その後、中国サッカーは弱体化。今では9月の試合での7対0というスコアが示すように、日中両国の実力差は拡大している。
そんななかで行なわれる厦門での対決......。はたして、20年前のように「反日ブーイング」のようなことが起こるのかどうかにも注目したい。
著者プロフィール
後藤健生 (ごとう・たけお)
1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2022年12月に生涯観戦試合数は7000試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。
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