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ヤクルトのドラフト1位ルーキー・中村優斗は「レベルの高さを毎日痛感」も「一軍に上がって金丸夢斗と投げ合いたい」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

ヤクルトドラフト1位ルーキー・中村優斗の現在地(後編)

前編:ヤクルト・中村優斗は「気づいたらメモ」で進化中>>

 一軍昇格に向けて順調に調整を続けているヤクルトのドラフト1位ルーキー・中村優斗。最近は一軍の試合をテレビ観戦しながら、投手のボールを研究している。そのなかで、西武の今井達也が印象に残っていると話した。

ファームで調整を続けるヤクルトのドラフト1位ルーキー・中村優斗 photo by Sankei Visualファームで調整を続けるヤクルトのドラフト1位ルーキー・中村優斗 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【今井達也をボールの変化量から分析】

「今井さんはあれだけ無双しているのに、じつは真っすぐの縦の変化量はそれほど大きくないんです。それでもあれだけ打者を圧倒できるのは、スライダーが真っすぐに見えているからじゃないかと。打者が真っすぐだと思って振ったら、じつはスライダーだった......みたいな。映像で見ていても、打者の反応からそれがわかるので、そこが空振りを取れる理由なのかなと思います。

 しかも、そのスライダーも打者の反応に比べて変化量がものすごく大きいわけではないんです。やはり、リリースの位置など、数値だけでは見えてこない要素があるのかなと。本当に勉強になりますし、すごいなと思います」

 そして、ドラフト同期のチームメイト、荘司宏太の名前も挙がった。

「荘司さんの真っすぐのホップ数値は65センチくらいあって、自分が見た限りでは一番大きい数字でした。それがあるから、チェンジアップといった変化球が効いているのかなと」

 自身の数値については、「フォークの回転数が一般的な数字より多いくらいで、そんなに突出した数字はないです。それが一軍にいって通用するのかしないのか」と言い、こう続けた。

「ただ、ホップ成分がいいとか悪いとかではなく、打者を抑えるためには"平均的な数値から外れたボール"を投げることが大事だと思っています。最近のホップ成分の平均値は40センチから50センチくらいで、打者にとっては見慣れた軌道なんです。だから、回転数が平均より少ないボールのほうが、打ちにくいのかもしれません。自分としては、そうした"平均から外す"ことが重要だと感じていて、意識的に平均値から外している球種もあります」

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著者プロフィール

  • 島村誠也

    島村誠也 (しまむら・せいや)

    1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。

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