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田中碧はプレミアリーグに昇格 イングランド2部で奮闘する日本人選手の現在地

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

 2024-25シーズンのヨーロッパ・フットボールは、日本人がひとつのキーワードだ。

 マインツの佐野海舟は総走行距離393.6kmで、ブンデスリーガの今季最長を記録。リバプールの遠藤航はリーグ優勝、クリスタル・パレスの鎌田大地はFAカップ制覇に貢献し、フライブルクの堂安律は10ゴール・7アシストでキャリアハイだった。

 また、前田大然は公式戦49試合・33ゴール・12アシストの荒稼ぎ。セルティックをスコットランドリーグ4連覇に導くとともに、自らはシーズンMVPを獲得している。

リーグ優勝を決めて感極まる田中碧 photo by Getty Imagesリーグ優勝を決めて感極まる田中碧 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る ドイツのデュッセルドルフからリーズに移籍した田中碧も、イングランド上陸初年度から充実した1シーズンを過ごした。チームの信頼を集め、サポーターの人気も絶大だ。意地悪なメディアですら「何者にも代えられない」「必要不可欠」「絶対的存在」と田中のプレーを絶賛していた。

 この日本代表MFはリーズの......いやいや、チャンピオンシップ(実質プレミアリーグ2部)のベストプレーヤーといって差し支えない。シーズンを通してコンディションを維持し、出場した43試合で及第点以上のハイパフォーマンスだった。

 46試合という長丁場のチャンピオンシップは、クオリティを保つのが常に難しい。なおかつポジションは中盤センターだ。あらゆる意味で高いプレー強度が要求され、フットボールの肝となる要職である。

 54回をマークしたインターセプトはチーム最多。優れた状況判断と球際の強さがあるからこそ残せるスタッツだ。さらに2379本を数えたパス総数はチーム3位。ボールを預けるケースも少なくないセンターバックのジョー・ロドンやジェイデン・ボーグルとは違い、田中の場合はリスクを冒したうえでの2379本である。

 戦局を読み解き、パスを散らせる田中が中盤に君臨したリーズは、2024-25シーズンのチャンピオンジップを制した。田中本人は、リーズの選手とサポーターが選ぶ年間最優秀選手にも輝いている。

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著者プロフィール

  • 粕谷秀樹

    粕谷秀樹 (かすや・ひでき)

    1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン社)など多数。

【フォーメーション】田中碧のポジションは?サッカー日本代表 2030年のメンバー予想

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