チャンピオンズリーグ決勝の行方をインテルのサネッティ副会長に聞く いま注目する日本人選手は?
ハビエル・サネッティ(インテル副会長)インタビュー 後編
インテルのハビエル・サネッティ副会長インタビュー後編。クラブのレジェンドである彼に、15年前のチャンピオンズリーグ優勝のことや、今回の決勝の見通し、今注目している日本人選手を聞いた。
>>前編「サネッティが語る今季のインテル、長友佑都、クラブW杯」
インテルのハビエル・サネッティ副会長。15年前にチャンピオンズリーグ優勝を勝ち取った photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る
【15年前のCL優勝の思い出】
――ブエノスアイレスの粗野な港湾出身の無名選手が、クラブ史上最多出場記録と最多タイトル記録を塗り替え、2010年にはキャプテンとしてチャンピオンズリーグ(CL)の優勝カップを掲げました。あれ以来、イタリア勢の欧州王者は出ていませんが、CL制覇にはどんな記憶が残っていますか?
「あれからもう、15年が経つのですね。もちろん、それでも記憶は鮮明に残っています。あの時のチームは、ジョゼ・モウリーニョ監督のもと、全員が家族のように強い絆で結ばれていました。優勝後に彼がレアル・マドリードへ移ることが明らかになると、多くの選手たちが涙を流したことからもわかるように。
バルセロナとの準決勝には、強烈な印象が残っています。ジョゼップ・グアルディオラ監督が統率した相手は、リオネル・メッシやズラタン・イブラヒモビッチ、シャビ、セルヒオ・ブスケツ、カルレス・プジョル、ダニエウ・アウベスら、錚々たるメンバーが揃う前年のCL優勝チームでした。インテルが勝つと思っていた人は、おそらくほとんどいませんでしたが、ホームでの第1戦をディエゴ・ミリートの大活躍(1得点、2アシスト)で3-1とモノにした。カンプ・ノウでの第2戦では、前半にチアゴ・モッタが退場となり、ひとり少ない状況になりましたが、長時間の相手の猛攻に耐え、なんとか失点を1に抑え、勝ち抜くことができました。
サンティアゴ・ベルナベウでの決勝のピッチに足を踏み入れた時、このチームなら、絶対に優勝できると感じていました。相手はバイエルンだったというのに。そして実際に、ミリートの2ゴールで2-0の勝利を収めました。優勝後は最高に嬉しかった反面、さっき言ったようにモウリーニョ監督との別れに胸を痛めたことを覚えています。あれから15年が経ち、その間に私にもクラブにも色々なことが起こりましたが、こうしてクラブが再び欧州の頂点に立つチャンスを迎えていることを、心から喜んでいます」
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著者プロフィール
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。