原樹理・高梨裕稔ら今季いまだ勝利ゼロのヤクルト投手たち 灼熱の戸田で奮闘、残り1カ月でシーズン初勝利を手にすることはできるか (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Sankei Visual

【残り1カ月で今季初勝利なるか】

 戸田球場では、先発ローテーションの一員としてリーグ2連覇に貢献した原と高梨裕稔も今季初勝利をつかもうとあがいていた。

 原は昨年、自己最多となるシーズン8勝をマーク。今年はプロ入り後、8年連続勝利のかかるシーズンだったが、コンディションが整わずにキャンプは二軍スタートとなった。その後も一軍登録されることはなく、コンディションと向き合うシーズンを過ごしている。

 松岡コーチは原についてこう語る。

「樹理は、今の自分ができることに対しての考え方が、頭のなかで整理できつつあると思います。ここまで苦しんできましたが、今の自分をどう受け止め、どう変化すればいいのかということを理解できるようになりました。いい方向に進んでいると思うので、シーズンも残り少ないですがすごく楽しみにしています」

 7月からは間隔を空けながらも、5イニング以上投げる試合が増えた。原は「何年連続勝利とかは関係なしに......」と言い、こう続けた。

「プロとして一軍で投げることが大前提なので、そこは変わらないです。今年は状態が上向いたと思ったら、また悪くなるというところがあったのですが、それを言っても何もならないので。今できることの最善策を見つけたい。残り1カ月ほどですが、やるしかないです」

 高梨はシーズンが開幕すると5試合に先発するも「今年はダメだったらダメなまま。大量失点のゲームが多かった」(高梨)と、0勝3敗、防御率7.66の成績で、5月27日に一軍登録を抹消された。

 小野寺コーチは、高梨が戸田に合流した時に「自分に何か変化を持つことが必要だよ」と話したという。

「去年7勝しましたが、"ここぞ"という時に代えられてしまうところがありました。それを乗り越えて結果を出すことが、今年は全然できていなかった。なので、戸田ではデータを見たりして、体の使い方について見直していこうと」(小野寺コーチ)

 目指すところは、力まずに140キロ台後半のボールを投げることだと、高梨は言う。

「145キロを投げそうな腕の振りで145キロを投げても、バッターは嫌な感じにならないと思うんで。僕は力を入れるといいボールがいかないので、力を抜くなかでしっかりしたボールを投げることを意識してやってきました」

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