【F1】角田裕毅の純粋な速さはレッドブルも高く評価 世間で沸き起こる「ドライバー交代論」など意に介さない
F1第9戦スペインGPレビュー(後編)
スペインGP予選で最下位に沈んだ角田裕毅(レッドブル)は、リアウイングやサスペンションのセットアップなどを変更し、ピットレーンからスタートすることを選んだ。
この週末に抱えてきた「謎のグリップ不足」という根本的な問題が、これで解決できるとはチームも考えていなかった。だが、後方から中団勢をオーバーテイクして自分のレースをしていくには、薄いリアウイングにつけ替える必要があったからだ。
角田裕毅は13位に終わったものの入賞のチャンスもあった photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る さらにチームは3ストップ作戦を採用。新品が3セットも余っていたソフトタイヤをフル活用するレースを選んだ。
角田は早め早めのピットストップで、中団勢のライバルよりフレッシュなタイヤで好ペースを刻む。最後は残り20周で18秒前の10位ピエール・ガスリー(アルピーヌ)より13周フレッシュなタイヤで、1周2秒以上速いペースで急速に追いかけていく展開に持ち込んだ。
その間に挟まった目の前のカルロス・サインツ(ウイリアムズ)は10周、オリバー・ベアマン(ハース)は9周のタイヤ差。リアム・ローソン(レーシングブルズ)とフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)だけはタイヤ差がほとんどなく、実質的に彼らとの入賞争いだった。
「2ストップと3ストップで(レースタイムは)そんなに変わらない。それであれば、とにかくフリーエアでペースを生かして走ることを目的に3ストップ作戦を選びました。
ペースは僕らが求めているレベルではないものの、中団グループと比べれば悪くなかったです。ポイントを獲れる可能性もあったと思います。でも、最後のセーフティカーが不運でした。あれがなければポイントが狙えたかもしれないので残念です」
55周目にアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG)がパワーユニットのトラブルでマシンを止めたことで、セーフティカーが導入。これで全車ピットインしてタイヤ交換ができてしまったため、3ストップ作戦で作り出してきた角田のタイヤアドバンテージは霧散した。
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著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。