【F1】角田裕毅は周囲の雑音もどこ吹く風 キャリア通算100戦で積み重ねた自信は1ミリも揺るがない
オレンジ色にデザインされたヘルメットを見れば、F1にやってきた頃の角田裕毅の姿がありありと浮かぶ。しかし、あれからあっという間に5年の月日が流れ、角田のF1参戦レース数は100戦目を迎えることとなった。
「ちょっと変な気分ですね。まだF1で走り始めたばかりのような気もしますし、でもずっと僕の人生の一部だったような気分でもあります。どのレースも特別に感じられますし、このF1という世界で100戦を迎えることができたのは、とても幸運なことだと思っています」
角田裕毅はカナダGPで通算100レース目を迎えた photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る そう言いながらも、本音では「日本人最多」や「100」といった記録や数字のことなど、特に何も気にしていないのが「角田裕毅」というドライバーだ。だが、彼が歩んできた道のりと、その過程で遂げてきた成長は、おそらく彼自身が思っているよりも何倍も長く大きい。
F1にデビューする前、F2やF3で戦っていた頃の角田と今の角田では、顔つきも肉体も、言葉も考え方も、そして戦っている場所も、あまりにも違う。それが100戦の重みであり、100という数字ではなく一つひとつの学びと成長が、今の角田裕毅を形づくってきたのだ。
その土台があるからこそ、目の前の結果が出ない今の状況に周囲の雑音がどれだけ大きくなろうと、角田の信念が揺らぐことはない。
「自分自身のパフォーマンスを発揮しきれないことで(今後の契約が)どうなってしまうかはわかっています。このポジションは本来自分がいるべき場所じゃないことも、自分自身がよくわかっています。
僕としては力強く挽回できると自信を持っています。みなさんがレッドブルのセカンドシートはああだこうだと言いたいのはわかりますけど、自分の能力は去年までや今年の序盤戦ですでに証明済みですから」
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著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。