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【F1】角田裕毅の予選最下位は最初からわかっていた 謎のグリップ不足にピレリのエンジニアも首をかしげるほど

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

F1第9戦スペインGPレビュー(前編)

「なんだかグリップがまったく感じられない。全体的にコーナーの入口で、リアがすごくスライドしている」

 スペインGPの金曜フリー走行。最初のプッシュラップを終えてすぐに、角田裕毅(レッドブル)は無線でそう呟(つぶや)いた。

 ハードタイヤでまだ路面もできあがっていない段階ゆえと思い、そのまま走行を継続した。しかし、状況は一向に改善しない。

角田裕毅は謎のグリップ不足で予選最下位に沈む photo by BOOZY角田裕毅は謎のグリップ不足で予選最下位に沈む photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る ディファレンシャルやエンジンブレーキなど、電子的に変えられるものも変更してトライしてみた。それでも、グリップ不足の症状はまったく変わらない。FP2、FP3とさまざまなセットアップを試みたものの、その根本的な違和感は最後まで拭い去ることができなかった。

「アタックラップ自体はとてもよかったと思います。100パーセントを引き出したわけではないにしても、(FP2でトップと)こんなに差(0.923秒差)がつくとは思っていませんでした。

 自分が何かのミスをして、この差なら納得です。だけどミスもなかったですし、マシンバランスも悪くなかった。正直に言って何がリミテーション(阻害要因)なのか、今はまだわかりません」

 金曜の走行を終えた時点で、角田はそう語っていた。

 結局のところ、予選もそのままの状態で迎えることになり、当然のようにQ1で敗退となった。それも最下位20位という、衝撃的な結果だ。

 ただ、角田自身はそうなることが最初からわかっていたようだった。そのくらい、明らかに何かがおかしかったのだ。

「FP1の最初のプッシュラップから、ずっと何かがおかしいと感じていました。全体的なグリップレベルが自分の思っている感覚と違っていて、週末を通して問題を改善しようと努力はしてきたんですけど。

 特に全体的なグリップレベルが低いと、セットアップを変えてもまったく無駄。フィーリングはどうすることもできなくて、(マシンが極度にスライドするという)根本的な問題を解決することができませんでした。すごく残念です」

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著者プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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