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SVリーグ女子の最強ルーキー3人 日本バレーボール界の将来を担う内定選手にも注目

  • 田中夕子●取材・文 text by Tanaka Yuko
  • photo by AFLO SPORT

 大阪マーヴェラスの優勝で1年目のシーズンを締めくくったSVリーグ女子。男子と同じく10月の開幕から5月のファイナルまでの8カ月という長い期間で、多くの熱戦を繰り広げた。

 なかでもルーキーイヤーを華やかに駆け抜けた3人+内定選手ながら期待の大きいひとりを紹介する。
※所属は2024-25シーズン

佐藤淑乃(さとう よしの/NECレッドロケッツ川崎)

年間表彰では、最優秀新人賞に選ばれた佐藤淑乃年間表彰では、最優秀新人賞に選ばれた佐藤淑乃この記事に関連する写真を見る 女子のルーキーのなかで圧倒的な存在感を示したのが、NECレッドロケッツ川崎の佐藤淑乃だ。昨夏のパリ五輪を最後に引退した古賀紗理那だけでなく、これまでNECレッドロケッツ川崎を象徴する選手たちがつけてきた背番号「2」を背負う。それだけでも期待の表われだが、今季はレギュラーラウンド44試合とファイナルまでのチャンピオンシップ7試合を含む、51すべてに出場。総得点で全体3位につけた攻撃面に加え、サーブでも得点を重ねチームを勝利に導いた。

 しかし、意外にもルーキーイヤーの目ざましい活躍を佐藤は慎重に捉えている。振り返るのは、筑波大在学時から内定選手としてNECに合流した昨シーズンだ。

「試合に出られるのはピンチサーバー(リリーフサーバー)としてだったので、チームの戦力になれたか、と言えば全然。紗理那さんのすごさをただ見ていただけでした」

 2018年に日本代表へ選出され、世界選手権にも出場した。そこでもリリーフサーバーとして、サービスエースを取るなどの活躍を見せたが、佐藤にとっては「何もできなかった」と語る苦い記憶だ。その悔しさを糧に、筑波大4年時、最後の全日本インカレでは自身初の日本一という最高の形で学生生活を締めくくれたからこそ、ひとつ上のステージでも即戦力になりたい、と強く望んでいた。

 そして、さらなる成長を誓い臨んだのがSVリーグ初年度シーズンであり、攻撃面ではフロントだけでなく強烈なバックアタック、そしてディフェンス面でもサーブレシーブを担い、まさに好守の要として欠かせぬ存在として活躍し続けた。

 しかし、SVリーグのファイナルで大阪マーヴェラスに敗れ「まだまだ自分の弱さが出た」と試合直後のコートだけでなく、試合後の記者会見でも涙で言葉を詰まらせた。

 この悔しさから、きっとまだまだ強くなる佐藤は、今季の日本代表でもエース候補に名乗りを上げる。

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