原樹理・高梨裕稔ら今季いまだ勝利ゼロのヤクルト投手たち 灼熱の戸田で奮闘、残り1カ月でシーズン初勝利を手にすることはできるか (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Sankei Visual

 金久保優斗は6月20日の楽天との交流戦(神宮)で、ショートスターター的な役割で今季初先発。チームは4回を終わって9点の大量リードだったが、コンディション面での配慮から63球で降板。シーズン初勝利の権利まであと1イニングだった。

「ノーヒットで4回までいけたので、あと1イニングを投げたかったですが、5四死球でしたし、二軍でも長いイニングを投げていなかったので(交代は)仕方ないと思っています」

 戸田ではコントロールを課題に取り組んだ。球速は150キロに迫るボールもあり、イニング数も徐々に増えていった。8月30日のファームでの日本ハム戦では、5回2失点で勝利投手となった。

「僕は真っすぐしかないとよく言われるのですが、この試合ではスライダーで空振りがとれました。真っすぐだけじゃないこともアピールしていきたい。その真っすぐも2年くらい前のよかった頃に持っていって、ずっと練習している変化球も完璧にして、また一軍で勝ちを積み重ねていきたいです」

【一軍初昇格を目指す嘉手苅浩太】

 プロ4年目の吉田大喜は、4月16日の練習中に足を負傷。リハビリ期間を経て、二軍で7月17日に今季初登板を果たした。

「シーズン序盤でケガをしてしまい、けっこう落ち込みました。でも、焦ったところで治らないものは治らないので、ケガをする前よりもいい状態で復帰できるようにしようと。自分は、変化球はある程度扱えるタイプなので、リバビリ中はウエイトの量を増やしたりして、真っすぐの球速を上げることに取り組みました」

 復帰後は2イニングから3イニングの登板を重ね、8月23日のDeNA戦(戸田)は2番手で登板。最速148キロの真っすぐと多彩な変化球、抜群のコントロールで非の打ちどころのないピッチングを披露した。同31日の日本ハム戦(戸田)では、先発して5回3失点で負け投手となるも、シーズン最長イニングを投げた。

「3イニングくらいのショートイニングだったら高いパフォーマンスが出せるようになったので、今はそれを長く維持することに取り組んでいます。もちろん一軍で投げたいですし、そのためには目の前の1試合をしっかりと。誰かが見てくれていると思うので、やるしかないです」

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