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オリックス・麦谷祐介を支える恩師の言葉 「野球はどこかで賭けなければいけない。引いたらダメだ」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

オリックス・麦谷祐介インタビュー(後編)

 オリックスのドラフト1位ルーキー・麦谷祐介(富士大)。開幕直後から勝負強い働きぶりと、走攻守にわたる全力プレーでチームに新風を吹き込んだ。

 6月に左手薬指の骨折で登録抹消されたものの、今後チームの顔になる可能性を秘めている。走攻守に能力が高いだけでなく、強烈な野心を隠さないキャラクターも人を惹きつける。故障離脱前の直撃インタビューでは、麦谷はプロ入り後の課題や今後の希望について語っていた。

前編:オリックスのドラ1ルーキー・麦谷祐介が貫く自分流の戦い方はこちら>>

4月29日のロッテ戦でサヨナラ安打を放ったオリックス・麦谷祐介 photo by Sankei Visual4月29日のロッテ戦でサヨナラ安打を放ったオリックス・麦谷祐介 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【バッティングは試行錯誤】

── 打撃フォームは少し変わりましたか? 構えもグリップ位置が体の近くになっています。

麦谷 ここまではプロのストレートに差されているので、試行錯誤しています。フォームは少しコンパクトにしました。バッティング練習で感覚を得て、試合でアウトプットして、それを突き詰めて再現性を高めていこうとしています。ただ、正直に言って、まだしっくりとくるものができていません。自信がないわけじゃないんですけど、変えていかなくちゃいけないところがあるのは確かです。

── 麦谷選手は大学時代から、守備・走塁に比べて打撃への課題意識を語っていました。大学時代から積み上げてきたものを生かせる範囲なのか、それとも根本的に変える必要があるのか、どっちでしょうか。

麦谷 根本は変えないようにしています。ただ、迷っている部分もあって。もう1回、自分自身を見つめ直しているところです。いずれにしても、バッティングに関しては、自分のなかで天と地ほどの差を感じています。まだ1年目ですし、いろんな経験をさせてもらっているので、すぐに結果は出ないと思うんですけど、我慢しながらやっていきたいですね。

── 一方で、走塁面は健闘しています。(6月19日現在)8盗塁はチームトップです。

麦谷 自信を持ってスタートを切れています。足は持ち味のひとつでもありますから。

── あまり言われてきていませんが、大学4年秋に記録した10試合15盗塁はとてつもない記録です。春は膝を痛めた影響もあって、0盗塁でした。何かつかんだものがあったのでしょうか。

麦谷 特別なことはないですけど、やっぱり気持ちの持ち方じゃないですか。富士大の安田(慎太郎)監督からは「野球はどこかで賭けなければいけない。引いたらダメだ」というようなことを言われていました。4年秋のシーズンは、自信を持ってスタートを切れていましたね。

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著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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