高木豊が語るセ・リーグで飛躍に期待の野手4人 巨人のショートに定着した泉口友汰らを分析した
高木豊が語る飛躍に期待の野手 セ・リーグ編
交流戦は苦しい戦いとなったセ・リーグの各チームだが、その分、大きな差が開くこともなかった。そこから抜け出すため、疲労が溜まる夏場を乗り切るために若手や新たな戦力の奮起も必要だ。
かつて大洋(現DeNA)の主力選手として活躍し、現在は野球解説者やYouTuberとしても活動する高木豊氏が、頭角を現わしてきたセ・リーグの野手について語った。
巨人のショートとして活躍を続ける泉口 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る
【巨人のショート、泉口友汰の魅力は?】
――まずは、巨人のショートに定着した2年目の泉口友汰選手(26歳)から伺います。打席数、安打数ともに現時点ですでに昨年を上回り、3割近い打率(.293、6月22日時点/以下同)をキープしていますが、現状をどう見ていますか?
高木 大阪桐蔭高、青学大、NTT西日本、巨人とエリートの道を歩いてきていますし、もともとポテンシャルは高かったと思うんです。今年、劇的に変わったのは、バットを短く持ち始めたことで操作性がよくなったということ。それが、泉口にはすごく合っていたような気がします。
短く持つというのは、ひとつの"安心感"なんです。ある程度のパンチ力もあるし、アマチュア時代は長打を求められることもあったと思いますが、プロに入って自身のパワーに疑問を抱いたんじゃないかと。それがバットを短く持つことにつながり、いい具合にまわり出したと見ています。
――プロで生きていくためにバットを短く持った?
高木 そうです。バットを短く持つと、ボールを最後まで引きつけられるメリットもあります。ほかにも「短く持ったほうがいいな」と思う選手は多いですが、プライドが邪魔をしているのか、そうしない選手が多い。でも、泉口はそういうものを取り除いてプロで生きていくために短く持った。すごく好感が持てますよね。
昨年から、泉口が打っても門脇誠に戻したり、門脇がショートのレギュラーと言われていた時期もあってしんどかったと思いますが、今は立場が逆転したわけです。よく我慢したなと思いますよ。アマチュアでも、厳しい競争のなかで勝ち抜いてきたと思いますし、門脇との争いが泉口にいい影響を与えたとも感じています。
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著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。