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オリックス・麦谷祐介を支える恩師の言葉 「野球はどこかで賭けなければいけない。引いたらダメだ」 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

── 来田選手の名前が出ましたが、同年齢で右投左打の外野手という共通点があります。選手としてのタイプは違いますが、一軍定着を狙ううえでライバルになると思います。来田選手の能力の高さを感じることもあるのではないですか?

麦谷 来田は、バッティングはすごいし、フィジカルも自分とは全然違うと感じます。ただ、ライバルという意識はないんです。まずは自分にできることをやっているので。誰かと比べて勝つというより、今は自分のことを見つめて、高めていかないと。そうしないと、一軍にはいられないのかなと感じます。

【野球が仕事になっているんだなと実感】

── 大学4年時にインタビューした際、麦谷選手は「自分もプロに行けたら野球がどれくらい楽しくなるか知りたい」と語っていました。今まさにプロ野球選手になってみて、野球はさらに楽しくなっていますか?

麦谷 そう言っていましたね(笑)。でも、やっぱり楽しいです。ひとつの夢がかなって、ここに立てているので、すごく光栄です。家族、友人、ファンの方々が喜んでくれたり、時には悔しさを分かち合ったり。本当に野球が仕事になっているんだなと実感します。息の長い選手になりたいですし、もっとチームの中心に立っていきたいです。

── これから中心選手になっていくためには、どんな部分が足りないと感じますか?

麦谷 やっぱりフィジカルです。12球団のいろんな選手を見てきて、自分とは体の分厚さが全然違うと感じました。技術ももちろん足りないですけど、体はあと5〜6キロは増やしていきたいです。いきなり大きくなるわけではないので、コツコツとやっていきます。

── これからの進化を楽しみにしています。

麦谷 ぜひ、また取材に来てください。よろしくお願いします!

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 先述のとおり、麦谷はこのインタビュー後、試合中に負傷して戦線離脱を余儀なくされた。だが、麦谷祐介という野球選手の将来を考えると、この治療期間すらも必要な時間なのではないかと思えてくる。

 明確な課題意識を持った野心家は、きっとひと回り大きくなって一軍の世界に戻ってくるはずだ。


麦谷祐介(むぎたに・ゆうすけ)/2002年7月27日生まれ、宮城県出身。大崎中央高から富士大に進み、1年春からベンチ入り。4年秋のリーグ戦では本塁打王、打点王、盗塁王のタイトルを獲得し、優秀選手賞、ベストナインにも選ばれた。24年のドラフトでオリックスから1位指名され入団。プロ1年目の今季、開幕一軍を果たした

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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