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オリックス・麦谷祐介を支える恩師の言葉 「野球はどこかで賭けなければいけない。引いたらダメだ」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

── 大学時代から、大観衆の前でプレーすると意気に感じていましたね。「球場の全員がオレのことを見てるだろと思ってプレーしています」と語っていました。

麦谷 今は毎日試合にお客さんが来てくれて、大勢の前で野球ができるので楽しくやらせてもらっています。それこそ「全員がオレのこと見てる」じゃないですけど(笑)。僕がチャンスで打てばお客さんに喜んでもらえますし、「楽しませたい」という思いは常にあります。

【高卒の選手が何年目なのかわからなくなる】

── 印象的な試合でのプレーについてお聞きします。4月15日の西武戦では、麦谷選手はプロ初の1番打者で先発出場。1打席目に安打と盗塁、失策が絡んで無死三塁とチャンスメークし、太田椋選手の内野ゴロの間に生還しました。さらに8回裏にはファウルで粘って12球を投げさせた末に、四球。ディアス選手の適時打で2点目のホームを踏みました。麦谷選手の2得点もあり、チームは2対0と勝利しています。

麦谷 西武は高橋光成さんが先発だった試合ですよね。いいピッチャーなので、フォアボールでも何でもいいから塁に出ることを考えていました。初めての1番打者起用で、「自分にできることは何か?」といったら、ホームに還ってくることしかない。チームの勝利に貢献できたので、自信になりました。

── ロッテ戦では印象的な活躍が多く、4月29日にはプロ初のサヨナラ適時打を打っています。さらに5月28日にも中森俊介投手から決勝適時打を放ちました。中森投手は同学年で、明石商の頃から甲子園のスター投手でした。意識するものはあったのではないですか?

麦谷 それが、あんまり知らなかったんですよ。あとになって(明石商の同期である)来田(涼斗)から聞いて、「あ、甲子園で投げていたのって、この子だったんだ」とわかりました。

── 大学時代にプロで活躍している同世代への複雑な思いを語っていたので、てっきり敵愾(てきがい)心を燃やしていたのかと思っていました。

麦谷 プロに入ると、選手がたくさんいるので、高卒の選手が何年目なのかわからなくなるんです(笑)。最近、ロッテの山本大斗が同期ということも知りました。ずっと年上だと思っていましたから(笑)。

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