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サッカー日本代表、1年後のワールドカップ本番に向けて、セルジオ越後「課題はワントップ」「長友を呼ぶのは気の毒」

  • 渡辺達也●構成 text by Watanabe Tatsuya

セルジオ越後の「新・サッカー一蹴両断」(12)

森保監督はあと1年でどんなチームをつくり上げるのか photo by YUTAKA/Aflo Sports森保監督はあと1年でどんなチームをつくり上げるのか photo by YUTAKA/Aflo Sports

 ワールドカップ最終予選を終え、来年の本番に向けまもなく再始動するサッカー日本代表。7月のE-1選手権、9月、10月、11月の親善試合と強化スケジュールが決まっているが、そこでクリアすべき課題とは? おなじみのセルジオ越後氏に聞いた。

【メキシコ戦、パラグアイ戦はいいシミュレーションになる】

 早いもので、来年のワールドカップ本番まで1年を切った。日本代表の年内の強化スケジュールを見ると、7月にE-1選手権(韓国開催。香港、中国、韓国の3チームと対戦)、9月にアメリカ遠征(メキシコ、アメリカと対戦)、さらに国内での親善試合が10月(パラグアイ、未定)と11月(2試合とも未定)に2試合ずつ、計7試合が予定されている。

 まずE-1選手権は、FIFA(国際サッカー連盟)の国際マッチデーではないため、国内組中心のBチーム的な編成で臨むことになる。ホームの韓国はともかく、香港、中国とは力の差があり、そこで大活躍したとしても、代表の主力、常連とはいえない選手たちにとって大きなアピールにはならない。ワールドカップ最終予選を戦った"いつものメンバー"たちの座を脅かすのは難しい。

 とはいえ、せっかく地上波の中継もあるわけで、招集された若手には「俺もいるんだぞ」というプレーを見せてほしい。6月の最終予選2連戦に招集されたFW細谷真大(柏レイソル)、DF鈴木淳之介(湘南ベルマーレ)、DF高井幸大(川崎フロンターレ)、MF俵積田晃太(FC東京)、MF佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)あたりには期待したい。

 特に細谷だね。今の日本代表において絶対的な存在がいないポジションがワントップ。細谷は力強くてスピードもあって、いいパフォーマンスを見せているんだけど、肝心のゴール数がなかなか増えない。そんな、これまでの殻を破るような活躍ができれば、まだまだチャンスはあると思う。逆にここでも結果を出せないようなら、もう「代表は無理」と言われても仕方ない。

 9月のアメリカ遠征は、来年の本番に向けてのいいシミュレーションになるのはもちろん、メキシコは歯ごたえのある、いい相手だ。ワールドカップでベスト8を狙える力を持つ国で、過去の対戦成績を見ても日本の分が悪い(1勝4敗)。森保監督体制でも2020年に親善試合で対戦し、0-2で負けている。しかも今回はアメリカ開催なので、彼らにとってはホームみたいなもの。そういう状況でどんな試合ができるか。日本にとっては、自分たちの立ち位置がわかる貴重な機会だ。

 また、10月の親善試合で戦うパラグアイも悪くない相手だね。南米予選では9月の2試合を残して、通過はほぼ確実な状況。パラグアイといえば、2010年南アフリカワールドカップでベスト8進出をかけて戦い、PK戦の末に敗れた苦い思い出がある。今回の南米予選でも16試合で10失点と堅守は相変わらずだ。

 前回カタールワールドカップで対戦したコスタリカ、今回の最終予選で対戦したオーストラリアと、日本は守備を固めたチーム相手に攻撃が手詰まりになることが多い。その意味で、9月のメキシコ戦に続き、本番に向けてのいいシミュレーションになるだろう。

 あとは、交渉中と言われているアルゼンチン、ブラジル、いずれかとの対戦が実現するかどうか。強化としてはもちろん、話題性も文句なし。日本サッカー協会は引き続きマッチメイクをがんばってほしい。

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著者プロフィール

  • セルジオ越後

    セルジオ越後 (せるじお・えちご)

    サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】

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