サッカー日本代表の試合の客席はブルーに染まるか サッカーより心配なワールドカップ観戦者数
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連載第95回
杉山茂樹の「看過できない」
2026年北中米ワールドカップが開幕する。筆者は日本の初戦、オランダ戦に合わせて現地入りする予定なので、この原稿は日本で書いているのだが、国内の盛り上がりがいまひとつのように見えるのは、気のせいか。
合宿地ナッシュビルでトレーニング中の日本代表の選手たち photo by JMPA かつてなら、ワールドカップの取材に出かけることを周囲に伝えれば、うらやましがられたものである。行きたくて仕方がない人たちであふれていた。実際に観戦旅行に出かけた人もかなりいた。日本が初出場を果たした1998年フランス大会、日韓共催の2002年大会を挟んだ2006年ドイツ大会あたりまでは、「サッカーファンなら行くのが当然」のようなムードが醸成されていた。
それがいまや、周囲に行くことを伝えれば「いろいろと大変そうですね」と気遣われる始末だ。業界的にも、かつては我も我もと取材パスを欲しがるライターやカメラマンであふれていたが、いまはそうではない。行かないほうが妥当な選択になっている。時代はすっかり変わっている。
国内外で物価の格差は著しい。1ドル160円という為替の円安も拍車を掛ける。筆者の場合で言えば、想定される経費の総額は従来のワールドカップの3倍を大きく上回る。まるで採算の合わない取材旅行である。一般のファンを募る観戦ツアーはさらに高い。聞くところによれば、日本戦を1試合だけ観戦する弾丸ツアーで100万円以上するものがあるとの話である。行ける人は限られている。
日本国内にインバウンドが押しかける理由がよくわかる。彼らにとって日本は天国だが、アウトバウンドの我々にとって、特にアメリカ旅行などは地獄。2026年ワールドカップはこうした経済状況のなかで開催されようとしている。
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著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。


