サッカー日本代表に鳴り響く12年前の敗北からの警告 構造的欠陥を「自信」が覆い隠した
かつても「史上最強」と言われ、「ワールドカップでの優勝」を標榜していた日本代表があった。当時と現在の日本代表では、何が変わり、何が変わっていないのか。過去のワールドカップの印象的な敗戦から見えてくるものがある。2014年ブラジルワールドカップが示すものとは――。
2014年ブラジルワールドカップの初戦、コートジボワール戦。
「自分たちのサッカー」
本田圭佑や長友佑都は、そんな旗印を掲げてブラジル大会に挑んでいた。当時、アルベルト・ザッケローニ監督が率いた日本代表は、アジアカップで相手をねじ伏せるようなサッカーによって優勝しただけでなく、1年前のコンフェデレーションズカップでは、強力な守備力を誇ったイタリアと点を取り合い、敗れはしたものの意気軒昂だった。
過去の受け身的だった日本代表と決別し、自分たち主体でボールをつなぎ、攻め立てるサッカーへの転換を図っていた。それ自体は、決して悪いことではない。試みとしては正しかった。しかし、チームはその自信を肥大化させていった。
「ワールドカップ優勝」
ザックジャパンでは、一部の選手がそんな大それた野望まで口にするようになった(さすがに世界を知るザッケローニはその文言を口にしなかったが)。
チームの攻撃力は確実に上がっていたが、その実態は、手数をかけすぎており、守備が疎かになる諸刃の剣だったのである。初戦のコートジボワール戦では、その過酷な現実を突きつけられることになった。
ブラジルワールドカップ初戦、コートジボワールに敗れた長友佑都ら日本代表の選手たち photo by JMPA 立ち上がりから、プレスがハマらない。ビルドアップにひと苦労し、結局はボールを蹴り出した。収まりどころがなく、球際での勝負で負けるとパスにもずれが出た。「自分たちのサッカー」のかけらもなかった。
しかし劣勢のなか、スローインから本田がわずかな隙をつき、相手をかわして左足で豪快に先制点を蹴り込んでいる。そこは自信家の爆発力が出たと言える。底力があることは間違いなかった。
1 / 3
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。


