【夏の甲子園2026】地方大会で打率.917→甲子園では4打席凡退 鳥取城北・宮野快生の「魔法」はなぜ解けたのか
高校野球の取材をするようになって20年あまり経つが、地方大会での打率が9割台という甲子園球児を初めて見たような気がする。
鳥取城北の宮野快生(かい/3年)。身長173センチ、体重74キロ、右投左打の一塁手である。鳥取大会4試合で残した成績は、下記のとおりだ。
4試合 16打席(12打数 11安打、四球3、犠打1)0本塁打 7打点 4盗塁
打率.917 出塁率.933 長打率1.167 OPS2.100
あまりにも気になった筆者は、鳥取大会で宮野が立った16打席の映像をすべて確認してみた。
鳥取大会で打率.917をマークした鳥取城北の宮野快生 photo by Ryuki Matsuhashiこの記事に関連する写真を見る
【鳥取大会で驚異の12打数11安打】
11安打のなかには、ラッキーな打球も何度かあった。犠打の打球を処理しようとした投手が尻もちをついて内野安打になったケースや、バスターした打球が外野の前に落ちたケースなど。しかし、大半は自分の間合いで力強くスイングした、正真正銘のヒットである。唯一の凡退になった二塁ゴロ(準決勝・境戦の第4打席)ですら、バットの芯付近でとらえた強い打球だった。
決して幸運だけで積み上げた11安打ではない。
映像から感じた印象を本人に伝えてみると、宮野ははにかみながらこう答えた。
「1打席1打席、ピッチャーに対してしっかりと振っていくことを考えていました。たまたまいいところに飛んだ打席もありましたけど、狙ったとおりに打てた打席も多かったです」
じつは鳥取大会の開幕前は、故障と不振に苦しんでいた。宮野は「とにかく練習量をこなして、考えて、また練習して......という感じでした」と振り返る。
初戦(2回戦)から準決勝まで、3試合の打順は7番だった。ここで8打数7安打と結果を残し、米子東との決勝戦では4番で起用されている。宮野はこの決勝戦について、「この夏を通じて一番体が動いて、バットが思うように出た試合でした」と語る。
2点のビハインドで迎えた第2打席。宮野が振り抜いた打球は中堅フェンスに1バウンドで届く2点適時二塁打になった。宮野にとって最高の打撃だった。
「強く振っているイメージはないのに、振り抜いたらあそこまで飛んでくれて。『あぁ、状態がいいんやな』と感じました」
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著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。




















