【夏の甲子園2026】初球150キロで「球場の雰囲気が変わった」 29年ぶり白星を呼んだ大分商・平田玲翔の底知れぬ才能
たった1球で、空気が変わった。
全国高校野球選手権大会1回戦・日本文理(新潟)対大分商(大分)戦。3回裏の日本文理の猛攻が続いていた。
大分商は0対2とリードされ、なおも無死一、二塁。打者へのカウントも2ボールとなったところで、大分商ベンチは早くも先発右腕の米田泰志に替えて、エース番号を背負った平田玲翔(れいと)をマウンドに送った。
151キロをマークした大分商・平田玲翔 photo by Ryuki Matsuhashiこの記事に関連する写真を見る
【球場の雰囲気を変えよう】
平田はこの回、ブルペンで捕手を座らせて投げたのは10球にも満たなかった。それでも平田はベンチに向かって「いける」と合図を送る。那賀誠監督の「いってこい」という言葉に送り出されて、平田は小走りでマウンドに向かった。
内心、こんなことを思っていたという。
「楽しい場面をつくってくれたので、米田に感謝ですね」
身長188センチ、体重80キロ。長身の平田がマウンドに立つと、その体はさらに大きく見える。投球練習を終えて投じた初球、150キロのストレートが捕手・伊東大雅のミットにめりこんだ。
甲子園球場の場内が「おぉ〜」とどよめく。その瞬間、甲子園は平田によって支配された。二塁を守る中野斗真には、平田のボールがこう見えたという。
「めちゃくちゃ速く見えました。『バチッ!』と決まって、球場の雰囲気が変わったように感じましたね」
この時の心境を試合後の会見で聞かれた平田は、不敵に笑ってこう答えた。
「とりあえず球場の雰囲気を変えようと思っていたので。これは抑えられるなと思いました」
2球目には、自己最速まで1キロに迫る151キロを計測。この回はストレートで押し、ピンチを無失点で切り抜けた。
このシーンを境に、試合は完全に大分商のペースになった。
5回表には9番・菅原翔空(とあ)の適時打などで2点を奪って同点に追いつくと、6回、7回にも2点ずつを加え、試合を優位に進めた。
8回裏に平田が4安打を浴びて2失点を喫したものの、試合は6対4で大分商が逃げ切った。大分商にとってはじつに29年ぶりの甲子園での勝利だった。
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著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。




















