【夏の甲子園2026】大谷翔平の母校・花巻東が「オール岩手」から大転換 県外出身者、海外からの留学生が続々入部
花巻東といえば、大谷翔平(ドジャース)の母校であると同時に、原則として岩手県出身者のみを受け入れる「オール岩手」の選手構成で知られていた。
しかし、近年は劇的な方針転換が図られた。2年前の入学者から少しずつ県外出身者が増え始め、1年前から広く門戸を開放。東北近県だけでなく、関東や関西からも選手が入学するようになった。
花巻東の視野は、「県内」「県外」の小さな枠にとらわれていない。アメリカやヨーロッパからの留学生も受け入れ、多様な文化が混じり合っている。新時代の到来を予感させる、スケール感のある野球部と言える。
この夏、4年連続14回目の出場を果たした花巻東 photo by Ryuki Matsuhashiこの記事に関連する写真を見る
【かつては野球留学生=ヒールの時代も】
花巻東の転換に際して、ひとつ思い出される光景があった。
今から14年前の夏。岩手大会決勝戦終了後の閉会式は、異様な雰囲気に包まれた。直前の準決勝で花巻東のエース・大谷翔平が最速160キロを計測したこともあり、盛岡大付との決勝戦は多くの観衆とメディアが押し寄せた。
球場に集まった多くの人が、大谷がどんなパフォーマンスを見せるのかと、期待に胸を膨らませていたはずだ。ところが、試合は打倒・花巻東に燃える盛岡大付が優位に進める。物議を醸す判定も花巻東にとって逆風になり、試合は5対3で盛岡大付が勝利した。
閉会式の主将インタビュー中に「事件」は起きた。晴れやかな表情で受け答えをする盛岡大付の藤田貴暉(よしき)に対して、スタンドから「よっ、横浜瀬谷ボーイズ!」という野次が飛んだ。盛岡大付には、神奈川県出身の藤田を含めて県外出身の選手が多かった。そうしたチーム状況を揶揄する野次は、ほかにも飛んでいた。
藤田は後年になって、観客から「ガイジン部隊」という声も浴びたと明かしている。学校には誹謗中傷のファックスが多数届いた。これから岩手代表として甲子園に向かうチームに対して、あまりに寂しいはなむけだった。
高校野球は、地域性が強調される文化だ。馴染み深い地元出身選手の多いチームが、人気を集めるのは理解できる。その一方で、「野球留学生」と呼ばれる越境入学生がヒール扱いされる風潮も根強かった。
1 / 4
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。





















