2025年型・大谷翔平のバッティングを伊勢孝夫が徹底解説 「死球が増えたわけ」「二刀流復活の影響は?」
今季も驚異的な活躍を続けるドジャースの大谷翔平。しかし、その打席には昨年までとは違う"変化"が見え隠れする。メジャーの投手たちによるシビアな攻め、打球方向の変化、そして二刀流復活の影響とは──。近鉄、ヤクルトなどでコーチを務め、多くの強打者を育てた伊勢孝夫氏が今シーズンの大谷のバッティングを読み解く。
昨年に比べてインコースへの厳しい攻めが増えた大谷翔平 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る
【6月に入り本塁打数激減】
さすがに去年、あれだけの成績を残したから、今季、相手チームがどんな攻め方をしてくるのか興味を持って見ていたけど、やはりというか明らかに厳しくなっている。5月にホームランを15本放ったが、6月はここまで(現地時間6月21日現在)3本塁打。その理由は、相手の攻め方がシビアになってきているからだ。
目立つのは足元への攻めだ。特に右ピッチャーは、足元へのスライダー、カットボールが多くなっている。カージナルス戦、パドレス戦とデッドボールを食うシーンがあったが、相手バッテリーからすれば内角を厳しく攻めるというのはセオリーだし、スイングを狂わせるために足元を崩しにかかってきている証拠でもある。
それに昨年は多かった外の甘めの球が少なくなり、球種もほとんどがチェンジアップか外へ逃げていくツーシーム系で、ストレート系は極端に減った。
左ピッチャーはインハイに投げて、外のカットボール、スライダー系で仕留めるパターン。まあこれは左バッターに共通した攻め方だが、とにかくどのピッチャーも球が速い。
いずれにしても、昨季に比べてホームランになるボールは明らかに減った印象だ。
それでもホームランを打てているのは、数少ない甘く入ってきた球に対して、ミスショットが少なくなっているためだ。昨年までだったら打ち損じてファウルにしていた球を、今年はしっかりミートしている。言うなれば、限られたホームランにできるボールをミスなくしっかり叩けているというわけだ。口で言うのは簡単だが、これはとんでもなくすごいことである。
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著者プロフィール
木村公一 (きむらこういち)
獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。

大谷翔平 (おおたに・しょうへい)
1994年7月5日生まれ。岩手県水沢市(現・奥州市)出身。2012年に"二刀流"選手として話題を集め、北海道日本ハムからドラフト1位指名を受けて入団。2年目の14年にNPB史上初の2桁勝利&2桁本塁打を達成。翌年には最多勝利、最優秀防御率、最高勝率の投手三冠を獲得...










































