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2025年型・大谷翔平のバッティングを伊勢孝夫が徹底解説 「死球が増えたわけ」「二刀流復活の影響は?」 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi

【ライト方向への強い意識】

 そんな今シーズンの大谷だが、彼のバッティングを見て感じることがある。それはレフトへの打球が減ったということだ。

 打者の好不調を計るバロメーターのひとつに打球方向がある。たとえば、ヤクルトの村上宗隆はセンターからレフト方向に打球がいく時は、体が開かず飛距離も出る。

 大谷の場合、センターからライト方向が彼の打球と言えるのだが、昨年はレフト方向への打球も多かった。それが今年は、これまで以上にライト方向へ強い打球を打とうという意識が強くなっている気がする。誤解してほしくないのは、「強く打つこと=引っ張ること」ではないということだ。

 あくまで映像で見た印象だが、昨年までと比べて、気持ち投手寄りの位置でボールを捉えている感じがする。ボール1個分ぐらいだろうか。そのため引っ張る意識がなくても、打球はライト方向に飛ぶというわけだ。

 大谷はノーステップに近いフォームだ。このスタイルでは、なかなかボールを呼び込んで打つのが難しい。ましてや、前述したようにメジャーのピッチャーのボールは速くて、球質も重い。その球をホームランにするため、大谷は始動を早めて、ボール1個分前で捉えようとしているのではないか。そう考えれば、レフト方向へのホームランが少ないのも納得できる。

 少なくとも今季の大谷は、昨年までとは違う意識で打席に入っているような気がする。これまでよりインコースへの攻めが厳しくなり、甘いボールもなかなか投げてくれない。そうした状況のなかでホームランを量産するには、三振を恐れず、数少ない打てる球をフルスイングしよう......あくまで想像に過ぎないが、そんな決意が打席から感じられるのだ。

【二刀流復活の影響は?】

 そしてもうひとつ、これも本人に直接聞かないことにはわからないが、"二刀流復活"も影響しているのではないか。

 もともと7月のオールスター前後に投手復帰するのではないかと報じられていたが、意外と早く、6月16日(現地時間)にマウンドに上がった。本人が投げたくて仕方なかったのだろう。

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