伊良部秀輝、松坂大輔、藤浪晋太郎... プエルトリコの地に残る日本人選手たちの記憶とクレメンテの面影
ロベルト・クレメンテのDNA〜受け継がれる魂 (全10回/第4回)
プエルトリコの町・カロリナ。そこはロベルト・クレメンテが育ち、数々の日本人選手が足跡を残してきた地でもある。中日ドラゴンズ通訳の加藤潤氏が、現地を歩き、人々の記憶に耳を傾けながら、災禍と希望、そして野球との絆を記す。
カロリナの生き字引、クルスさん(写真左)とゴンザレスさん photo by Kato Junこの記事に関連する写真を見る
【カロリナの生き字引が語る日本人選手の思い出】
カロリナとサントゥルセの一戦。この試合、カロリナの先発は福岡ソフトバンクホークスの大竹風雅。しかし味方の守備の乱れもあって、3回で降板した。その様子を一塁側スタンドで、ふたりの年配ファンとともに見守った。ベンジャミン・クルスさんとアルベルト・ゴンザレスさん。
この地で育った彼らは、カロリナの生き字引だ。ふたりの口からは、過去にカロリナを訪れた日本と縁のある選手たちの名前が次々と出てくる。
「レオ・ゴメスにヒラム・ボカチカだろう。なんといっても、我々にとってのスターはペドロ・バルデスだよ。今年は藤浪(晋太郎)をはじめ3人の日本人がプレーしているけど、昔から日本人はけっこう来ているんだ。
松井稼頭央、大家友和、そして松坂大輔もね。球場の関係者入口で待っていると、みんな気持ちよく野球カードにサインしてくれたよ。そうそう、伊良部秀樹も来たけど、彼はちょっと難しかったね。サインはもらえなかったよ(笑)」
20年以上前の話を、まるで昨日のことのように笑顔で語るふたり。彼らの語り口にかかれば、クレメンテも偉人伝の主人公ではなく、身近なご近所さんのように感じられる。
「クレメンテも完全無欠だったわけじゃない。パイレーツ時代、後年になって同郷の選手から『なんだよ、オレたちラティーノとは遊ばずに白人とばかりつるみやがって』なんて言われたこともあったんだ。本人はそんなつもりはなかっただろうけどね。
それに子どもの頃は、ロベルトよりも兄のマティーノのほうが、じつは野球がうまかったんだ。マティーノは今でもこの近くに住んでいるよ」
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著者プロフィール
加藤 潤 (かとう・じゅん)
1974年生まれ。東京都出身。中日ドラゴンズ通訳。北海道日本ハムファイターズで通訳、広報、寮長に就いたのち、2011年から現職。シーズン中は本業をこなしながら、オフには海外渡航。90ヶ国を訪問。稀に文章を執筆。過去にはスポーツナビ、中日新聞、朝日新聞デジタル版に寄稿。またコロンビアのTV局、テレメデジンとテレアンティオキアに話題を提供。現地に赴き取材を受ける










































