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伊良部秀輝、松坂大輔、藤浪晋太郎... プエルトリコの地に残る日本人選手たちの記憶とクレメンテの面影 (3ページ目)

  • 加藤潤●文 text by Kato Jun

福谷浩司の元同僚、アローヨ投手コーチ(写真左)とアルバラード投手コーチ photo by Kato Jun福谷浩司の元同僚、アローヨ投手コーチ(写真左)とアルバラード投手コーチ photo by Kato Junこの記事に関連する写真を見る 翌日、クルスさんに教えてもらったクレメンテの兄が住む地区を歩いてみた。しかし正確な住所を知らなかったため、道に迷ってしまった。すると、不意に私の横で一台の車が止まった。熱帯の強い日差しに吹き出た汗が、一気に冷たくなる。パワーウィンドウがスルスルと下がり、ドライバーが顔を出した。

「乗って行けよ」

 前日に顔見知りになった、カロリナの選手だった。

「気をつけろよ。ひとりで歩くのはやめておけ」

 この日の試合の相手はポンセ。昨年まで千葉ロッテマリーンズに在籍していた東條大樹が武者修行に来ており、談笑した。

 ひとつ心残りだったのは、昨シーズンまで中日ドラゴンズに在籍していた福谷浩司と入れ違いだったことだ。ポンセの投手陣に「コージに写真を送るから集まって!」と伝えると、ウォームアップ中にもかかわらず笑顔で集まってくれた。

 広島カープと横浜DeNAベイスターズで活躍したジオ・アルバラード投手コーチは、彼の英語について「まあまあだな」とニヤリ。横で聞いていたスティーブン・アローヨ投手コーチがすかさず「いやいや、オレよりうまいだろ」と突っ込んだ。元チームメイトについて語る彼らの表情からは、福谷が同僚たちと良好な関係を築いていたことが伝わってくる。彼が充実した時間を過ごせていたようでなによりだ。

【深夜の聖地巡礼が紡いだ絆】

 じつは球場からの帰り道に苦労していた。出国前にUberタクシーのアプリをダウンロードし忘れていたのだ。日が暮れ、暗闇の中をひとりで強盗の危険がある場所に歩いていく勇気はなかった。するとクルスさんが、ホテルまで車で送ってくれるという。

「君がカロリナに来た理由を聞いて、放っておけないよ。せっかくだから、クレメンテにまつわる場所に寄りながらホテルまで送るよ」

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