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辰巳リカは「後輩への嫉妬心」で東京女子プロレス初の三冠を達成「未詩とは魂の闘い。体は限界でも心は折れなかった」 (3ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • photo by 林ユバ

 プロレスを始めてから、毎日が楽しかった。怪我をしても、ベルトが獲れなくても、やめたいと思ったことはなかった。しかし、2021年9月の欠場をきっかけに、突然電池が切れた状態に陥った。

 初めてのことで困惑したが、それまで突っ走ってきた辰巳にとって、自分を見つめ直す時間になった。このままやめるか続けるか、将来のことを自問自答した結果、復活したい欲が勝ち、今に至る。

「なるべくプロレスを長く続けたいと考えてはいるんですけど、私の場合は永遠に続けられるものではないと思っているので、1試合1試合を大事に闘っています」

 2022年に行なわれた2つの試合で、辰巳はこれまで味わったことがない感覚を味わうことになる。3月19日、両国国技館大会でのマジカルシュガーラビッツ(坂崎ユカ&瑞希)対白昼夢。そして、7月9日、大田区総合体育館大会での対中島翔子戦だ。

「どちらも負けたんですけど、ゾーンに入るような感覚を味わったんですよね。大きな会場でのタイトルマッチで、失敗できない状況。周りからの期待もあるし、プレッシャーもあるし、極限状態になって神経が研ぎ澄まされた。今はあの2試合を超えるべく闘っている感じです」

 プレッシャーに押し潰される選手も多い中、辰巳は違った。毎回、試合前には「もう2度と経験したくない」と焦るが、どこかでスイッチが入り、突き抜けるという。「メンタルが強いんですね」と筆者が言うと、「強くないとプロレスやれないです」と笑った。

【体は限界でも心は折れずに三冠達成】

 2023年2月21日、東京ドームで開催された武藤敬司引退興行で、8人タッグマッチ(坂崎ユカ、山下実優、中島翔子、辰巳リカvs瑞希、伊藤麻希、渡辺未詩、荒井優希)に出場。初の東京ドームだったが、旗揚げメンバーと組んだことで安心感が大きく、怖さはなかったという。しかし終わってみると、後悔が残った。

「大きい会場でファンに"届ける"ことの難しさを学びました。返ってくる反応の時差や、歓声のズレとかも感じた。"間"の難しさというんですかね。個人としてはインパクトを残せなかったですし、落ち込みました」

 逆に、個人として大きなインパクトを残したのが、白昼夢のタッグパートナー、渡辺未詩だ。得意のジャイアントスイングを炸裂させ、東京ドームを大いに沸かせた。

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