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錦織圭は試合中に「9本!」もガット変更を要求 注文も細かいけど「圭のラケットを張るのは面白い」

  • 内田 暁●取材・文 text by Akatsuki Uchida

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錦織圭という奇跡【第17回】
玉川裕康の視点(3)

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「そうですね。もう、いろんな選手を担当していますけど、彼ほど難しい選手はいないですから、ストリンガーとして」

 玉川裕康。グランドスラムやオリンピックなど多くの大会で数々のテニスプレーヤーたちのラケットに命を吹き込む、練達のストリンガーである。同時に、少年時代の錦織圭を「アルバイトコーチ」として引率したこともある、25年来の盟友だ。

 その玉川氏が、錦織を「最も難しい選手」だと断言する。もちろん、そう言う時の彼の顔は、ワクワクするように輝くのだが──。

リオ五輪でモンフィスに勝った錦織は感極まって涙した photo by AFLOリオ五輪でモンフィスに勝った錦織は感極まって涙した photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る テニスラケットの『面』は、ストリング(ガット)を網のように縦横に張ることで形成される。そのストリングを張る際に、どれくらいの強度で引っ張るかで打感が変わる。一般的には、高いテンションで張ると安定感は増すが、反発力は減る。逆に低いテンションだとボールは飛びやすいが、コントロールが難しい。

 ストリンガーは通常、選手たちが指定してきたとおりに張りあげる。ただ、ストリンガーの技量やクセによって、同じ数値で張っても仕上がりは多少異なる。また、仕上がりは同じでも、その日の気温や湿度によっても反発力等は変わる。

 だから感覚が繊細な選手ほど、日々異なるテンションを指定してくる。それどころか試合中でも、刻一刻と変わる状況に応じてラケットを張りに出す。

 テニスの試合で時折、ボールパーソンが選手からラケットを受け取り、それをコートサイドのスタッフに手渡すことがある。それは選手が、ラケットの張り替えを依頼した時。スタッフはラケットを抱え、大会会場に必ずあるストリングルームへと走るのだ。

 錦織は、そのような試合中の依頼が極めて多いことで有名である。

「本当にオンコート(試合中)の張り出しが多いんですよ、圭は。だから、彼が試合をしているときは、気が休まらないです。しかも来るたびに、指定のテンションが上がったり下がったりするんですが、その傾向がわからないんですよね。上げてくるだろうなって思っていたら、また下げてくるとか。『おい、おい!』みたいなこと、よくあるんですよ」

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著者プロフィール

  • 内田 暁

    内田 暁 (うちだ・あかつき)

    編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。2008年頃からテニスを追いはじめ、年の半分ほどは海外取材。著書に『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)、『勝てる脳、負ける脳』(集英社)など。

【写真】日本女子テニス「6人のティーンエイジャー」フォトギャラリー

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