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錦織圭が「一万人にひとり」なのも当然 地元コーチが間近で見てきた奇跡の環境

  • 内田 暁●取材・文 text by Akatsuki Uchida

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錦織圭という奇跡【第13回】
石光孝次の視点(1)

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「純粋なテニスの才能ということで言ったら、圭は一万人にひとりくらいじゃないかと、僕は思うんです」

 錦織圭の生家から、クルマで1時間半ほどの距離にある、鳥取県鳥取市──。かつては圭少年も駆けたコートを眺めながら、石光孝次さんが懐かしそうに目を細めた。

日に日に強くなっていった10代の錦織圭 photo by KyodoNews日に日に強くなっていった10代の錦織圭 photo by KyodoNewsこの記事に関連する写真を見る 現在も鳥取市の「遊ポートテニスクラブ」で子どもたちの指導にあたる石光コーチが、「一万人にひとり」の才能の持ち主を目撃したのは30年近く前。中国地方の12歳以下の有望選手が一堂に会する、広島開催の合宿だった。

 地元の選手を引率してその合宿を訪れていた石光氏は、小柄で色白な少年の「コートに絵を描くようなテニス」に目を奪われたという。その少年が繰り出す一打一打には、意志と意図が込められていた。

「そうだよな、これだけ体格差がある相手に勝つなら、この戦法だよな」

 そう共感しながら見ていると、思わず「おっ!」と声をあげるほどに予期せぬタイミングで、ドロップショットやロブを放つ。遊び心にあふれるテニスは見ていても楽しく、引き込まれた。

「すごく面白いテニスですね!」

 石光氏は思わず、近くで見ていた少年の父親に声をかけていたという。それが石光氏と、圭の父親・清志さんとの出会いだった。

「純粋に本人が持って生まれた才能という意味では、圭くらいの子はほかにもいると思います。でも、圭のお父さんも一万人にひとりくらいの感性や意志の持ち主。お母さんの温かさというのも、一万人にひとりだと思う。それらが掛け合わさったら、それはもう天文学的な数字になりますよね」

 石光氏の目がとらえる、『錦織圭という奇跡』の本質。それは家族を中心とする、生まれ育った環境にこそあった。

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著者プロフィール

  • 内田 暁

    内田 暁 (うちだ・あかつき)

    編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。2008年頃からテニスを追いはじめ、年の半分ほどは海外取材。著書に『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)、『勝てる脳、負ける脳』(集英社)など。

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