錦織圭、復活のカギはどこにあるのか。
新境地を切り開き全仏へ (2ページ目)
ローマから持ち帰った収穫は、新コーチのマックス・ミルヌイと取り組んでいるネットプレーが、本人が想定していた以上に生かせたこと。
「クレーでもこうやって(ネットプレーを)混ぜていけるんだな、っていうのがわかった」という皮膚感覚は、実戦でしか得られぬ大きな収穫だっただろう。
ただムゼッティ戦では、第2セットで喫した1本のボレーミスがひとつの試合の潮目となり、本人も「あんな簡単なボールをミスしたのが、大きなポイントになった」と、あとに悔いた。
翌週に出場したヨーロピアン・オープンの初戦では、第2セットでリードを守りきれず、終盤の3連続ブレークチャンスも逃すなど、どこかチグハグな試合運びに終止する。
結局は、復帰戦で本人が口にした「まだ実戦が必要。なるべく勝って試合数をこなしたい」ということ以上に、完全復帰への順路はないようだ。
そのような観点で見た時、来たる全仏オープン初戦の相手がダニエル・エバンス(イギリス)というのは、決して悪くない組み合わせだろう。
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これまでの対戦成績は2勝1敗。その唯一の敗戦が、7年前の全米オープン初戦というのは錦織ファンには暗い記憶だが、当人たちにとっては遠い過去のはずだ。
エバンスはバランスの取れた好選手ではあるが、錦織と同様にストロークでリズムを築くタイプであり、突拍子もない武器があるわけではない。クレーをやや苦手とするのも、錦織にとっては落ち着いて対峙できる材料となるだろう。
他方で、錦織の不安材料はスタミナだ。復帰から3大会を戦った時点で、試合終盤に息が切れるような場面がしばし見られた。ローマ・マスターズ2回戦でも、第2セットで足を押さえる場面などもあり、「まだちょっと身体がついてこなかったりする」ことを本人も認めている。
クレーでのエバンスとの試合はラリー戦が予想されるうえに、グランドスラムの戦いは最長5セット。競り合いに定評のある錦織ではあるが、今の彼にとって持久戦は避けたいところだ。
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