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あわや期待外れ助っ人の危機からベイスターズ日本一の立役者へ ジャクソンを覚醒させた二軍降格とバウアーの助言

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton

 2025年のシーズンに向けて、横浜DeNAベイスターズのアンドレ・ジャクソンは、オフの間、自身が「ベストゲーム」と位置づけた登板の映像を何度も見返していた。

 アリゾナ州スコッツデールの自宅で見ていたのは、昨年秋に行なわれた福岡ソフトバンクホークスとの日本シリーズ第5戦の映像だった。

昨シーズン、26年ぶり日本一の立役者となったDeNAのアンドレ・ジャクソン昨シーズン、26年ぶり日本一の立役者となったDeNAのアンドレ・ジャクソンこの記事に関連する写真を見る

【ジャクソンが振り返るベストゲーム】

 本拠地・横浜スタジアムで2連敗を喫したベイスターズだったが、敵地で立ち直り、2勝2敗のタイで迎えた第5戦を7対0で勝利。ジャクソンはこの試合について、次のように振り返った。

「第1戦の登板はよくなかったのですが、第5戦は間違いなく自分のなかでのベストゲームでした。メンタル、ピッチング、結果......すべてが最高でした。最初から最後まで、試合を支配したという感覚がありました。だからこそ、今シーズンはあの感覚を思い出したいですね。そうすれば、いい結果につながるはずです」

 3連勝で26年ぶりの日本一に王手をかけたベイスターズは、再び横浜スタジアムに戻ってくると、第6戦は11対2と圧勝。4連勝で日本一を決めた。前身の大洋、横浜時代を含め、3度目の日本一達成だった。

 ジャクソンは、日本シリーズの流れがベイスターズへと傾いたのは、第4戦の勝利が大きかったと語る。

「7試合制のシリーズでは、第3戦が最も重要だと言われていますが、今回は第4戦が転換点でした。もちろん第3戦も大事でしたが、第4戦で2勝2敗のタイに持ち込めたことで、まるで陸上競技の平坦なコースに入り、そこからは短距離走のようになりました。勢いのあるチームが勝つ展開になり、私たちはその流れに乗ったのです」

 ただ、第4戦の勝利の瞬間、ジャクソンはベンチにいなかった。これは日米の習慣の違いによるものだ。メジャーリーグの先発投手は登板日以外でもベンチに入るが、日本では登板予定のない先発投手はベンチ入りメンバーから外れる。そのため、試合中は宿舎で観戦することが多い。

 そのためジャクソンも、日本シリーズ第4戦は遠征先である福岡の宿舎でテレビ観戦していた。

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著者プロフィール

  • ブラッド・レフトン

    ブラッド・レフトン

    1962年、米ミズーリ州セントルイス生まれ。地元ラジオ局で大リーグ取材に携わった後、92年ミシガン大学で修士号取得。その後、NHKの番組制作に携わるため来日。96年に帰国。現在、日米両国の雑誌やテレビでフリージャーナリストとして活躍中。日本人メジャーリーガーや日本でプレーする外国人選手の取材を積極的に行なっている。

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