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あわや期待外れ助っ人の危機からベイスターズ日本一の立役者へ ジャクソンを覚醒させた二軍降格とバウアーの助言 (3ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton

「正直、フラストレーションは溜まっていました。もっと早く日本の野球に適応できると思っていたのに、なかなかうまくいきませんでした。ただ、コーチの方がストライクゾーンから外れていた投球を指摘してくれたことで、明確な課題を持って二軍に行けたことは大きかったです。どんな調整が必要なのがわかったので、頑張れば大丈夫だと確信していました」

 具体的な課題としては、日米のストライクゾーンの違いと、打者のアプローチの違いがあった。

「メジャーでは低めの球が狙われるので、高めのストレートで攻めるのが有効です。しかし、日本の打者は高めの球を打つのが得意です。彼らのスイングは比較的フラットなので、高めばかり攻めると四球が増えてしまいます。ゾーンの高さもメジャーとは異なるので、アジャストしなければいけませんでした」

 この課題を克服するため、ジャクソンは日本の野球に詳しい元同僚にアドバイスを求めた。それが、2023年にDeNAで10勝4敗の成績を残したトレバー・バウアーだった。

「彼も最初は、ストライクゾーンや打者のアプローチの仕方に戸惑っていました。しかし、そこから適応して結果を出したので、どのように修正したのかを話してくれました。彼は人を助けるのが好きで、非常に賢い投手なので、的確なアドバイスをもらえました」

 その後のジャクソンの活躍は、ベイスターズファンの知るとおりだ。昇格後、シーズン最終戦までの4連勝を含め、7勝4敗、防御率2.90と大きく成績を改善。さらに、阪神とのクライマックスシリーズ第2戦、ソフトバンクとの日本シリーズ第5戦で勝利投手となり、"優秀選手"にふさわしい活躍を見せたのだった。

著者プロフィール

  • ブラッド・レフトン

    ブラッド・レフトン

    1962年、米ミズーリ州セントルイス生まれ。地元ラジオ局で大リーグ取材に携わった後、92年ミシガン大学で修士号取得。その後、NHKの番組制作に携わるため来日。96年に帰国。現在、日米両国の雑誌やテレビでフリージャーナリストとして活躍中。日本人メジャーリーガーや日本でプレーする外国人選手の取材を積極的に行なっている。

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