高木豊がソフトバンク・小久保裕紀、ロッテ・吉井理人の両指揮官に提言 苦戦が続く「大本命」に求めることは?
2025年のプロ野球も開幕から1カ月が過ぎた。パ・リーグでは、開幕前の予想で1位予想されることが多かったソフトバンク、佐々木朗希が抜けたロッテの苦戦が続いている。その両チームの監督の采配について、かつて大洋(現DeNA)の主力選手として活躍し、現在は野球解説者やYouTuberとしても活動する高木豊氏に聞いた。
ロッテの吉井監督(左)とソフトバンクの小久保監督 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る
【小久保監督は「腕の見せどころ」】
――開幕前はリーグ優勝候補の大本命と目されていたソフトバンクが苦戦を強いられています。ケガ人が続出しているという事情もあると思いますが、ここまでいかがですか?
高木豊(以下:高木) 劣勢になった時の、ソフトバンクの小久保裕紀監督に少し"弱さ"を感じます。強いときは何をやってもうまくいくもの。逆に、チーム状態が悪くなった時に指揮官がどういう手を打つのかが肝だと思うのですが、小久保監督は劣勢時にあまり動けない印象です。あえて動かないのかもしれませんが......。
昨年の日本シリーズでも、2連勝したあとに4連敗を喫しましたよね。相手に渡してしまった流れを引き戻すために何か手を打つべきだったと思うのですが、結局は引き戻せませんでした。
それと、山川穂高の状態が悪くなっても4番から外すことなく起用しています。「山川以外に4番を打てる選手はいない」という考えなのかもしれませんが、「4番はこの選手」という固定観念に縛られてしまうと、4番を任せる選手がいなくなってしまいます。今は4番にこだわる時代でもありませんしね。
――ただ昨年は、山川選手のスランプが長くても(プロ11年目で自己最長の30試合、130打席で本塁打なし)4番で起用し続けた結果、本塁打と打点の二冠王。リーグ優勝にも貢献しました。
高木 昨年は、後ろを打つ近藤健介が山川を支えていましたよね。しかし今は、近藤や柳田悠岐、開幕から5番でいい働きを見せていた正木智也も故障で離脱して、支える人間がいません。こういう状況でどんな手を打っていくのかが、指揮官の腕の見せどころです。
ソフトバンクはずっと強いチームですし、小久保監督にそういう経験があまりないからかもしれませんが、今いる選手たちをどう起用し、どんな采配を振るっていくのかが監督の仕事。今後もその部分に注目していきたいです。
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著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。