西野真弘、廣岡大志が語るオリックス流「日替わり打線」の強さ 「打順を見て、自分のなかである程度理解はできる」 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

【日替わり打線の強さ】

 先発の宮城とともに勝利の立役者となったのが、初戦で出番のなかった西野と廣岡だった。シーズン中から日替わり打線で勝利してきたオリックスだが、いきなり起用された選手が力を発揮できる点にこそ強さがあるのだろう。

 ヤクルト、巨人と渡り歩き、今季途中にオリックスへ加入した廣岡は在籍球団との巡り合わせもあり、この日が日本シリーズ初出場だった。ついにチャンスがやってきたという思いこそ、大一番で力を発揮できた要因だったと振り返る。

「そういう気持ちはすごく自分自身で持ってやってきました。悔しい思いもしましたし、(過去の日本シリーズはテレビ)画面でしか見られなかったので。クライマックスシリーズもそうですけど、初めてなので何とか結果を出してやろうと思って、ぶつかっていけたかなと思います」

 一方、33歳の西野はペナントレースでは43試合の出場に限られた。今季5度の登録抹消を経験したベテランは、巡ってきたチャンスを逃さず、モノにする大切さをよくわかっていた。

「(モチベーションや集中力などの)難しさはもちろんありますけど、使ってもらった時に期待に応えないと、ずっと使われなくなるので。出た時は必死に、自分の持っている力を全試合出せるようにという準備を、日頃、練習のなかでしています。ベンチ外だったら次の日に備えて、次の試合に出るとなったらスイッチを入れるというように、自分なりにやっています。僕の立場からすれば、もうやるしかない。なので、今日は本当によかったと思います」

 シーズン中からチーム内で競争が繰り広げられるなか、レギュラーに定着していない選手たちにはいつ出番が巡ってくるかわからない。だが、チャンスを与えられた時に力を発揮すれば、また必ず出場機会がやって来る。それがオリックスの日替わり打線の強さで、日本シリーズという大一番で西野と廣岡が力を発揮し、チームに貴重な勝利をもたらせた。

 初戦は打順を固定して戦う阪神がその強さを見せて1戦目をとったあと、今度はオリックスが選手層の厚さを示して2戦目を勝利した。これで1勝1敗。実力伯仲と見られる今年の日本シリーズは、面白い展開で3戦目の甲子園に舞台を移す。

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プロフィール

  • 中島大輔

    中島大輔 (なかじま・だいすけ)

    2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。

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