清田育宏が批判覚悟で挑んだ1年間のBCリーグ生活 正真正銘の引退試合で若手選手に伝えたかったこと

  • 岩国誠●文 text by Iwakuni Makoto

 10月1日、清田育宏は坊っちゃんスタジアム(愛媛・松山市)で現役選手として最後の試合を迎えた。

 2021年5月、コロナ禍での内規違反を理由にロッテから契約解除を言い渡され、野球浪人となっていた清田だったが、今春、独立リーグのルートインBCリーグ・埼玉武蔵ヒートベアーズ(以下、BC武蔵)の角晃多社長から選手としてのオファーを受けた。

試合後、声援を送ってくれた観客にあいさつする清田育宏 photo by Iwakuni Makoto試合後、声援を送ってくれた観客にあいさつする清田育宏 photo by Iwakuni Makotoこの記事に関連する写真を見る

【批判覚悟でBC武蔵に入団】

「僕が入るにあたって、やっぱりよく思わない人もいたと思います。入団してほしくない、入れないほうがいいんじゃないかって」

 清田の練習をサポートしていた元ロッテの先輩であるG.G.佐藤氏のもとには、SNSなどを通じて「どうして清田のサポートをするのか」という批判的な意見もあった。復帰して人前でプレーすることについて、ネガティブな意見があることは十分承知している。ただ、プレーができない期間に、あらためて野球が好きだということに気づいた。周囲に相談もしたが、最後は自分で決断した。

「野球をやるべきか、やらないほうがいいのか悩んだ結果、やっぱり不甲斐ない形でユニフォームを脱ぐことになったので、もう一度、僕を応援してくださった方にユニフォーム姿を見せたいと思い、『やらせてください』と(球団に)お願いしました」

 入団会見でそう語った清田は、「今年1年」と心に決めて、独立リーグの世界に飛び込んだ。そして今季、リーグ戦41試合に出場し、打率.315、本塁打3、打点23の成績を残し、BCリーグ南地区優勝に貢献した。

 すでに9月2日のリーグ最終戦で引退試合を行なっていた清田だったが、チームはプレーオフを勝ち上がり、独立リーグの日本一を決める『グランドチャンピオンシップ2023』に進出。最後の舞台が"もうひとつのプロ野球"と言われる独立リーグの頂点を決める戦いになったのも、これまで大舞台で勝負強さを見せてきた清田らしいと言えた。

 相手は元ソフトバンクなどで活躍した馬原孝浩監督率いる九州アジアリーグ・火の国サラマンダーズ。昨年は他チームを投打で圧倒し優勝した、熊本を本拠地とする強豪チームだ。

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