楽天・藤平尚真は完全復活となるか 「高校ビッグ4」と称され入団も低迷、再飛躍へ岸孝之とのキャッチボールから得たこと
かつての自分の背番号19を身につけた、ドラフト1位ルーキーの荘司康誠が粘りのピッチングを続ける。3年前に早稲田大から鳴り物入りで入団した同世代の早川隆久が、先発として地位を確立する。
少しずつではあるのかもしれないが、若い力が楽天で芽吹こうとしている。
プロ7年目を迎えた楽天・藤平尚真この記事に関連する写真を見る
【昨季から背番号が19→46に】
「若い選手が頑張ってますし、刺激になりますけど......自分もチームでは若いほうですよ」
藤平尚真はそう主張する。24歳。たしかに若い。
今年で7年目を迎えた右腕は、開幕から先発ローテーションとして仕事を遂行する。「中6日」が一般的とされる登板間隔は、チームの方針により10日前後と大きく空いているものの、これまで5試合に登板し2勝2敗、防御率3.67(6月7日現在)という成績は、まずまずと評価できるのではないだろうか。
若々しさは、ピッチングフォームにも現れている。目一杯、右腕を振る様、マウンド上での立ち居振る舞い......。プロで6年もキャリアを積んできた藤平に失礼だとわかりながらも、作新学院の今井達也(現・西武)、花咲徳栄の高橋昂也(現・広島)、履正社の寺島成輝(元ヤクルト)らと『高校ビッグ4』と評された横浜高時代、プロ1、2年目のような初々しさがボールに伝わっているようだと錯覚してしまうほどである。
はははは。藤平が笑いながらも「そうっすね」と同調してくれた。
「ボールであったり、試合で投げていての勢いであったり、気持ちの部分でもそういうのはしっかり出せているかなって思いますね」
声のトーンから迷いは感じない。プロとして刻んできた年輪が、藤平の落ち着きと自信を与えているようである。
2016年にドラフト1位で楽天に入団した藤平は、高卒1年目の2017年から3勝4敗、防御率2.28と、将来性豊かな素質を披露。2年目も4勝7敗と負け越したものの、先発として81回1/3を投げ経験を重ねた。
打たれても、腕を振る----そんながむしゃらさに陰りが見えたとすれば、3年目の2019年だ。一軍でステップアップできているがゆえに、藤平は自分と向き合いすぎていた。
1 / 3
著者プロフィール
田口元義 (たぐち・げんき)
1977年、福島県出身。元高校球児(3年間補欠)。雑誌編集者を経て、2003年からフリーライターとして活動する。雑誌やウェブサイトを中心に寄稿。著書に「負けてみろ。 聖光学院と斎藤智也の高校野球」(秀和システム刊)がある。