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【高校野球】大阪桐蔭Vの裏で見つけた"隠れ逸材"たち 荒木雅博の教えを体現した遊撃手、三拍子揃う捕手、14球で流れを変えた右腕

  • 安倍昌彦●文 text by Masahiko Abe

選抜で見つけた「隠れ逸材」たち(前編)

 第98回選抜高校野球大会は、大阪桐蔭の優勝で幕を閉じた。今大会を振り返り、あらためて思ったことは、前評判の高い逸材たちが多く出場していたことだ。

 織田翔希(横浜)、末吉良丞、新垣有絃(ともに沖縄尚学)といった昨年の春夏甲子園制覇に貢献した快腕をはじめ、菰田陽生(山梨学院)、吉岡貫介(大阪桐蔭)、杉本真滉(智辯学園)......。とくに、投手に高卒から即プロを狙えるハイレベルな選手が多かった。

 そんななか、大きく報じられるドラフト注目選手や殊勲選手だけでなく、人知れず、プレーの中に、秘めた潜在能力の一端をにじませている選手たちの存在も見逃してはならない。どのメディアも大きく取り上げてはいないが、見過ごすにはあまりにも惜しい"隠れた逸材"たちの存在を紹介したい。

中京大中京の遊撃手・田中大晴 photo by Ryuki Matsuhashi中京大中京の遊撃手・田中大晴 photo by Ryuki Matsuhashiこの記事に関連する写真を見る

【荒木雅博の教えを体現する名門校の遊撃手】

 まずは初日の第2試合。試合開始前のシートノックから、そのフィールディングに目を奪われたショートがいた。中京大中京(愛知)の遊撃手・田中大晴(3年)だ。この選抜では、リードオフマンとしても活躍した。

 170センチ、75キロの体格ながら、まるで素足でボールを追っているかのような軽快なフットワークが光る。常に足が先に素早く動き、それに連動する形で上半身が自然に動く。上半身の動きに過剰な「意志」がないのがいい。

 ゴロに対しては、力みのない柔らかな動きで両腕が自然に伸び、グラブは地面すれすれの低い位置まで落ちる。ボールの勢いをうまく吸収し、そのまま無駄なくスローイングへと移行する。無理に強く投げようとしないため、送球の軌道にもブレがない。併殺プレーでも、「入り」と「出」のスピード感がすばらしい。

「ボールの握り替えの速さにはもともと自信あったんです。捕球の瞬間は、グラブをタテに使うようにしています、打球が跳ねた時も反応できますから。下半身の動きとしては、左足のつま先を上げておいて、捕球しながら下ろすことで自然な体重移動が生じて、送球方向へ踏み込んでいける。グラブが下から出ているのは、捕球時に腕が脱力できているからです。脱力すると、グラブが自然と下がるんで......。すべて、荒木(雅博/元中日)さんから習いました」

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著者プロフィール

  • 安倍昌彦

    安倍昌彦 (あべ・まさひこ)

    1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。

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