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【高校野球】甲子園で見つけた"原石"たち 二塁送球1秒92の強肩捕手に驚異の身体能力外野手、そして"大物感"漂う2年生司令塔

  • 安倍昌彦●文 text by Masahiko Abe

選抜で見つけた「隠れ逸材」たち(後編)

前編:荒木雅博の教えを体現した遊撃手、三拍子揃う捕手、14球で流れを変えた右腕はこちら>>

 今大会はスター選手だけでなく、プレーの細部に光る"原石"たちの存在も際立った。強肩強打の捕手、驚異的な身体能力を誇る外野手、そして大物の風格を漂わせる若き司令塔──。甲子園の舞台で見つけた、将来が楽しみな逸材たちを紹介したい。

近江の強肩捕手・杉本将吾 photo by Ryuki Matsuhashi近江の強肩捕手・杉本将吾 photo by Ryuki Matsuhashiこの記事に関連する写真を見る

【大会屈指のスローイング】

 大会4日目第2試合のシートノック前。近江(滋賀)の選手たちが、大垣日大(岐阜)との初戦に備え、キャッチボールを始めた。ナインの先頭に、いわゆる「主将」のポジションで強肩を披露する背番号2の粘り強い下半身に目を引かれた。

 杉本将吾(3年)は、しっかりと割れた股関節を自然と前後へ動かし、体重移動で投げている。近年、こういうスローイングのできる捕手が少なくなった。

「畳にあぐら」から「椅子に腰かける」生活様式への変化が、その一因であることは間違いない。盗塁を阻止するため、しゃがんだ姿勢から立ち上がって送球する捕手にとって、低い姿勢のまま投げられることは大きなアドバンテージとなる。究極は、座ったままの二塁送球だ。

 二塁送球タイムは1秒92。きれいな回転で伸びのある低い送球は、今大会でも屈指のスローイング能力とみた。

  走る姿も、まるで透明な自転車をこいでいるかのように、下半身が自然に動く。その弾力が前へ進む推進力となっている。50メートル走6秒4という俊足もうなずける。

 外角低めにスライダーが決まる。左手にミットをはめたまま手を叩き、エース・上田健介(3年)が投じたベストボールを「祝福」している。よく言われる捕手の「リード」とは、こういうことを指すのだろう。投手を案じ、気遣い、励まし、叱り、そして共に喜び合う......。杉本は、「ハート」を持った捕手になれそうだ。

 資料によると、選抜まで高校通算26本塁打。昨秋の公式戦では7試合で26打数15安打、打率.577を記録し、チームトップの打撃成績を残している。

 初回、完璧に捉えすぎたことでラインドライブがかかり、結果はレフトライナーに終わった。8回には左中間への強烈な当たりを放ち、センターのファンブルを見逃さず、一気に二塁を陥れる走塁も見せた。右の長距離砲としての資質だけでなく、すぐれた野球勘も持ち合わせている。

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著者プロフィール

  • 安倍昌彦

    安倍昌彦 (あべ・まさひこ)

    1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。

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