【高校野球】大阪桐蔭が「決勝不敗神話」継続で通算10度目の日本一 指揮官の強気なサインに対応した準備力と実行力
「わかっていました」
智辯学園(奈良)の選手全員がそう言った。
智辯学園を下し、4年ぶり5度目の選抜優勝を飾った大阪桐蔭 photo by Yoshiyuki Ohtomoこの記事に関連する写真を見る
【決勝戦でも積極策で好機演出】
わかっていたのは、大阪桐蔭の作戦のことだ。送りバントが予想される場面でヒットエンドランはもちろん、バスターエンドランもやってくる。準々決勝の英明(香川)戦の8回裏無死一塁で4番の谷渕瑛仁(えいと)がバスターエンドランをやっていたこともあり、頭には入っていた。
智辯学園の小坂将商(まさあき)監督は言う。
「外せのサインは決めてました」
決勝戦でも、大阪桐蔭の西谷浩一監督は変わらず積極的に仕掛けてきた。
1回表、先頭の仲原慶二が内野安打で出塁すると、2番・中西佳虎(けいと)の3球目(カウント1−1)にヒットエンドランを敢行。たまたまカーブが抜けてボール球となったため結果はサードゴロ(走者は二進)に終わったが、簡単に送りバントに頼らない姿勢は明らかだった。
2度目は3回表。1点をリードする大阪桐蔭は、先頭の中西が死球で出塁する。3番・内海竣太は初球をバントの構えで見送り(ストライク)、つづく2球目だった。一塁走者の中西がスタートを切ると、内海はバントの構えからヒッティングに切り替えるバスターエンドラン。117キロのスライダーを強引に引っ張り、打球はライト前へと転がった。
無死一、二塁となり、打席には4番・谷渕。1ボールからの2球目にバントを試みるもファウルとなると、つづく3球目はバントの構えからバットを立て、思いきり引っ張った。打球はライト後方へのフライとなり二塁走者が三塁へ進み、一死一、三塁とチャンスを広げた。結果的に、つづく藤田大翔の適時二塁打を呼び込んだ。
そして3度目のエンドランは7回表。智辯学園が逢坂悠誠の本塁打で追いついた直後の攻撃だった。
先頭の中島斉志(なるし)が安打で出塁すると、1番・仲原は送りバントの構えを見せる。初球をバントの構えで見送り(ボール)、つづく2球目だった。中島がスタートを切ると、仲原はバントの構えからヒッティングに切り替える。打球はセンター前へ転がり、無死一、二塁。ここでもバスターエンドランで好機を広げた。
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著者プロフィール
田尻賢誉 (たじり・まさたか)
1975年、神戸市生まれ。学習院大卒業後、ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球の徹底した現場取材に定評がある。『明徳義塾・馬淵史郎のセオリー』『弱者でも勝てる高校野球問題集173』(ベースボール・マガジン社刊)ほか著書多数。講演活動を行なっているほか、音声プラットフォームVoicy(田尻賢誉「タジケンの高校野球弱者が勝つJK」/ Voicy - 音声プラットフォーム)でも毎日配信している。





















