【高校野球】甲子園で見つけた"原石"たち 二塁送球1秒92の強肩捕手に驚異の身体能力外野手、そして"大物感"漂う2年生司令塔 (3ページ目)
自信と不安の間で揺れる教え子を、鈴木部長は温かく見守っている。
「人一倍やる気のあるヤツですから、バッティングでも思いが前に出すぎることがあります。もう少し野球的に大人になり、セルフコントロールができるようになってくれればうれしいんですけどね。伸びしろの塊のようなヤツですから......」
熊本工の2年生捕手・中村凌 photo by Ryuki Matsuhashiこの記事に関連する写真を見る
【坂本誠志郎のような大物感】
第6日第1試合。春22度目の出場となる熊本工業(熊本)を相手に、大阪桐蔭(大阪)の2年生左腕・川本晴大(はると)が14三振を奪い、3安打完封の快投を見せた。192センチ、95キロ──。これほど雄大な体躯を持つ大型サウスポーが、長い手足を自在に操りながら、これほど気持ちよさそうに、しかも豪快に投げ込む姿は、この50年で見たことがない。
衝撃の「2時間9分」だった。
しかしこの試合、川本と同等、いやそれ以上に注目したのが、熊本工の捕手・中村凌(2年)だった。彼もまた、川本と同じ2年生である。
上手な遊撃手がマスクを被っているようだ......と思ったのは、シートノックの時だ。中村は、宇土市立鶴城中では軟式野球部に所属していた。硬式出身者には子どもの頃から大人と同じ「重いボール」を扱ってきた力強さがあるが、軟式出身者は「軽いボール」を扱ってきたゆえの軽快さがある。
捕球から送球への連動も、フットワークも、腕の振りも「どっこいしょ」という感じがまったくなく、それこそ軟球を扱うかのようなソフトなタッチとスピード感は圧巻だ。
投球練習後の二塁送球はすべて1秒8台で、ほぼストライク。捕球時にすでに一歩踏み込んで、握り替えも速く、体の連動にまかせて強く投げようとし過ぎないから、送球の再現性も高い。
また、投手への返球はオールストライク。気分よく投げてもらおうと思ったら、じつは必須の作業だ。
常に相手ベンチに目線を送りながらしゃがみこむ。敵の捕手から見られることを嫌う監督はすごく多い。打者の足元に遠慮なく潜り込み、しつこく体の近くを攻められる「勝負根性」も見上げたものだ。
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