【高校野球】大阪桐蔭Vの裏で見つけた"隠れ逸材"たち 荒木雅博の教えを体現した遊撃手、三拍子揃う捕手、14球で流れを変えた右腕 (4ページ目)
球速は140キロ前後でも、回転軸がぶれない強烈なバックスピンのストレートに、花咲徳栄の中軸はミートポイントをつくれず、かなり詰まらされていた。
カーブ、カットボールに加え、「最も自信がある」と胸を張るスプリットを織り交ぜ、投げ損じなしの14球とみた。
試合後、「いいフォームで投げてたねぇ」と声をかけると、惜敗にしょんぼりしていた表情がパッと明るくなり、花が咲いたような笑顔を見せた。
「二段モーションで投げているので、リリースの瞬間に上半身と下半身のタイミングが合うよう、そこは意識しています。テイクバックをセンター方向に取ることで右手を上げる時間をつくり、リリースを合わせやすくしています。さらに、グラブを捕手方向に突き出せば、テイクバックで(右腕が)背中に入らないんです」
日頃の「学習」が想像できる、説明力の高さだった。わからなくなった時、そこに戻っていける「理論」がある選手は強い。
「今日は、投球練習の初球が高く抜けてしまったので、力まないように修正して投げました。自信があるのは、気持ちのこもったピッチングとスプリットです。『オレがチームを背負って投げてやる!』という思いは、下山にも負けてないんで」
「それじゃ、1イニングじゃ物足りなかったね」と声をかけると、「そこまでは自分からは言えません」といった表情を浮かべながらも、「うん」と大きく頷いてみせた。
東洋大姫路の岡田龍生監督に「背番号10、いいフォームで投げてますね」と言うと、「いやいや、まだまだ、まだまだ......」と返ってきた。
まだまだダメです、の"まだまだ"じゃない。ちょっとうれしそうに、ニヤッとした表情からは、「まだまだ伸びる子ですよ」の"まだまだ"と見てとれた。
著者プロフィール
安倍昌彦 (あべ・まさひこ)
1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。
フォトギャラリーを見る
4 / 4





















