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【高校野球】大阪桐蔭Vの裏で見つけた"隠れ逸材"たち 荒木雅博の教えを体現した遊撃手、三拍子揃う捕手、14球で流れを変えた右腕 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Masahiko Abe

 荒木さんは2023年に中日のコーチを退任後、中京大中京で臨時コーチを務めていた。教わった相手が名手だからすごいんじゃない。名手から教わった大切なことを、しっかり身につけて自分の「ワザ」にしていることが尊いのだ。

 きっと、何度も何度も繰り返し、「これでもか!」というほど自分の体に叩き込んできたに違いない。

 とはいえ、漆器にたとえるなら、まだ「塗りたて」の状態に近いのかもしれない。その光沢にやがて落ち着きが備わって、本物の輝きを放つ日まで、さらなる錬磨に期待したい。

攻守でチームを牽引した智辯学園・角谷哲人 photo by Ryuki Matsuhashi攻守でチームを牽引した智辯学園・角谷哲人 photo by Ryuki Matsuhashiこの記事に関連する写真を見る

【強靭な体躯に抜群の実戦力】

 大会2日目の第2試合で、横浜(神奈川)が神村学園(鹿児島)に敗れたあとも、3万5000人の観客は席を立たなかった。つづく第3試合の花巻東(岩手)と智辯学園(奈良)の一戦も、大会屈指の好カードだったからだ。

 この試合、智辯学園の角谷哲人(3年)は「1番・捕手」としてチームを牽引した。昨夏の奈良大会は4番、昨秋はおもに3番を任されていた。

 二の腕の太さに、まず目を奪われた。さらに、プロテクターを審判服の下に装着した球審のような分厚い胸板。「屈強」という言葉が、ピタリと当てはまるシルエットが印象的だった。

 柔軟な腕のしなりと、指のかかりが効いた時の二塁送球は、伸び、精度ともに一級品だ。一塁へのけん制のスピードにも、光るものがあった。

 ひと冬を越え、さらに筋力が増したのだろう。バネの効いた動きからの二塁送球は、力が入りすぎてシュート回転する場面もあった。パワーが増すと、その力で「仕事」をしようとするのは人の常だ。二塁ベースにポンと置けるようになれば、本物の「強肩」になれる。

 むしろ、この日は打者としてのすばらしさがひときわ輝いて見えた。3回一死二塁。フルカウントから、花巻東の好左腕・萬谷堅心(まんや・けんしん/3年)が投じた外角低めの直球に対し、バットを投げ出すようなスイングで左中間へ運んだ先制のタイムリー。日頃の練習ではまずやらない打ち方を、咄嗟の判断で繰り出し、結果につなげた"実戦力"が光った。

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