【夏の甲子園2025】絶体絶命から生還 日大三のリードオフマン・松永海斗がチームを勝利に導いた好走塁の真髄
甲子園で光ったスーパー走塁術(前編)
高校野球はトーナメントが終盤を迎えるにつれてレベルが高くなり、1点の重みが増してくる。
どのチームも1点をつかみ取るため、ひとつでも先の塁を奪おうと手を尽くす。そこで重要になってくるのが「走塁」だ。
8月16日に行なわれた甲子園3回戦から、珠玉の走塁術を披露した2選手を紹介したい。
好走塁でチームに勢いをもたらした日大三・松永海斗 photo by Matsuhashi Ryukiこの記事に関連する写真を見る
【見逃さなかった相手の隙】
日大三(西東京)と高川学園(山口)が対決した第1試合。決定的な大仕事をやってのけたのは、日大三の1番・右翼手である松永海斗(3年)だ。
高川学園に1点を先取された直後の攻撃。1回裏一死三塁のチャンスで、日大三の3番打者・本間律輝(3年)が放ったゴロは投手正面へ。ここで三塁走者の松永が、三本間に挟まれてしまう。
本間が打席に入った時点で、ベンチからは「ゴロゴー」の指示が出ていた。つまり、打者がゴロを打った場合、走者は本塁突入を目指す作戦である。ただし、投手ゴロの場合は判断が難しい。本間がバットに当てた直後にスタートを切った松永は、投手がゴロを捕球した瞬間、「まずいな」と焦ったという。
「とりあえず(打者走者の)本間を二塁まで行かせようと思いました」
時間を稼ぐため、三本間でじっと待つ。高川学園の投手が松永を追いかけ、三塁に送球。ランダウンプレーが始まる。すると、松永には高川学園の隙が見えたという。
「ピッチャーが追いかけてくるスピードが遅かったんです。サードにボールが渡ったあとも、あんまり追いかけてこなかった。これは、サードが投げた瞬間に戻れば、セーフになるかもしれないと思いました」
松永が本塁に向かう様子を見た三塁手は、捕手に転送。すると、松永は瞬時に三塁へと鋭くターンする。三塁手が三本間のラインの内側にいると見て、「外側から手を入れよう」とベースタッチ。絶体絶命の危機を脱して、三木有造監督からは「よくセーフになった」と称えられたという。
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著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。




























