【夏の甲子園2025】絶体絶命から生還 日大三のリードオフマン・松永海斗がチームを勝利に導いた好走塁の真髄 (2ページ目)
しかも、打者走者の本間はランダウンプレーの間に二塁まで進塁。チャンスは一死二、三塁と拡大された。直後、4番・田中諒(2年)の遊撃ゴロの間に、松永は本塁に生還する。もし松永が憤死していれば、田中の凡退で攻守交代になっていたはずだった。
この直後、日大三打線が爆発する。さらに4安打1四球を集中し、この回に一挙5得点で逆転に成功した。結局、この5点が大きくものを言い、日大三は9対4と5点差で勝利を収めている。
【ランダウンプレーで生き残るコツ】
ランダウンプレーで挟まれた時に、生き残るコツはあるのか。「ない」と言われることを承知で聞いたのだが、松永の答えは驚くべきものだった。
「三本間はあまり(セーフになったことが)ないんですけど、一二塁間のほうが練習しているので、得意ですね」
牽制球で誘い出された時など、一二塁間で挟まれるケースもある。松永は持論を続けた。
「追い方とか、一定のパターンがあるので。その時、その時で頭に入れて動いています」
松永によると、一番アウトになりやすいのは、投げ手がスピーディーに追いかけてくる時だという。
「もしピッチャーがガッと速く追ってきて、サードにボールを渡していたら、アウトになっただろうと思います。ランナーからすると、ゆっくりと追われたら考える時間が増えます」
また、松永が外野手という点もポイントだった。内野陣がランダウンプレーの練習をする際、必然的にランナー役を務めるのは外野手になる。つまり、挟まれる練習を多く積めるのだ。ランダウンプレーでの「生存率」を聞くと、松永は「ほかの人よりは高いと思います」と笑った。
松永の好走塁は、これだけではなかった。そもそも1回裏に三塁に進塁したのも、松永の好判断だった。右翼線に二塁打を放った直後、中継プレーで二塁手がボールをこぼしたのを見逃さず、思いきりよく三進したのだ。
7回裏には二死一、二塁の一塁走者として、2番・松岡翼(3年)の左翼線二塁打で長駆ホームイン。最後は微妙なタイミングになったが、松永は勢いのあるヘッドスライディングで間一髪、生還を果たしている。
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