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藤浪晋太郎が振り返る大谷翔平との対戦、春夏連覇、そして大阪桐蔭での3年間 「一番の財産は、西谷浩一に出会えたこと」 (5ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

「生徒に対して嘘をつかないし、ナチュラルに心をつかむんですよ。それも決して、自分が崇めたてまつられるような心のつかみ方はしない。高校野球でよく『監督さんのために......』というセリフを聞きますが、桐蔭にはない。だから西谷監督を胴上げしたいという空気は、当時のチームのなかにはなかったと思いますし、少なくとも自分のなかには1ミリもなかったです(笑)」

 藤浪に西谷への思いは、プロの世界で過ごした時間のなかでより深まったように思える。もしそうだとすれば、それは"出会い"という部分で、その後の世界での藤浪の満たされない思いを伝えてくるようでもあった。

「プロの世界で、選手にとっての指導者はビジネスパートナーで、教育者じゃない。もちろん、プロの世界でも尊敬できる人はいますが、教育の場ではないので......。そこはわかっています」

 無償の日々のなかで信頼できる師、仲間たちと野球に励み、春、夏の頂点に立ったエースは、ここからビジネスとしての野球の世界へ踏み込んでいくのだった。

(文中敬称略)

つづく

著者プロフィール

  • 谷上史朗

    谷上史朗 (たにがみ・しろう)

    1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。

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