藤浪晋太郎が信頼を寄せる大阪桐蔭の元チームメイトの波瀾万丈 「センバツで4番、夏はスタンド」 (6ページ目)
「グラウンドに立てなかったけど、うれしさは春と変わらない。みんなで助け合い、大阪桐蔭で野球をして本当によかった。最高です」
当時のコメントが新聞記事に残っている。春の4番がベンチを外れ、スタンドで旗を持ちながら仲間の勝利を願う。その姿は、格好の美談として各方面で報じられた。あれから時が経ち、あらためて当時の心境はどうだったのか。
「どんな感情やったんですかねぇ。連覇がうれしかったのはたしかです。負けてほしくなかったし、一緒にやってきた仲間も活躍してほしかった。でも、スタンドで旗を持ちながら試合を見て、悔しかったこともたしかです。夏の決勝に勝って、春夏連覇を達成した時は、どんな感情やったんですかねぇ......。僕が部員のなかで、一番複雑な気分であの大会を見ていたのかもしれないですね」
おそらく本心だろう。そして小池は言う。
「外されたこと以上に西谷先生に怒られて、『これじゃアカン』と気づけたことが大きかった。あの夏は、僕の人生の分岐点です」
力強く当時を振り返ったが、「だから小池は変わった」と言うには、まだ物足りなさがあった。実際、その後の人生もすんなりといかなかった。
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著者プロフィール
谷上史朗 (たにがみ・しろう)
1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。
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