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【夏の甲子園2025】下級生にポジションを奪われた仙台育英の背番号15・今野琉成が明かす「日本一激しいチーム内競争」の舞台裏

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 試合前のシートノック中、記者席で何度も「おぉっ!」と声をあげてしまった。

 仙台育英の内野ノック。遊撃を守る背番号15と背番号6の選手の身のこなしから、目が離せない。ふたりとも、まるで甲子園が自分の庭のように動き回っていた。

 背番号15は今野琉成(2年)、背番号6は砂涼人(1年)。いずれも下級生である。

シートノックで華麗な守備を見せる仙台育英・今野琉成 photo by Matsuhashi Ryukiシートノックで華麗な守備を見せる仙台育英・今野琉成 photo by Matsuhashi Ryukiこの記事に関連する写真を見る

【日本一激しいチーム内競争】

 今野のグラブさばきは流麗で、三遊間の難しいバウンドをいとも簡単にバックハンドでさばいてみせる。身長172センチと小柄ながらスローイングも力強く、守備だけでも見る者を魅了する力があった。

 だが、今野は背番号が示すとおり、レギュラーではない。この日の先発を1学年下の砂に譲り、ベンチスタート。出場機会のないまま、5対0で仙台育英の勝利の瞬間を見届けた。

 試合後、今野は偽らざる本音を吐露した。

「本当に悔しい思いはあります。でも、砂や有本が入ったおかげで、『このままじゃダメだ』と成長のきっかけをもらったと考えています。『日本一激しいチーム内競争』が育英なので」

 この日の仙台育英は、6番で二塁手の有本豪琉(1年)、7番で遊撃手の砂が先発。内野の要である二遊間を1年生が固めていた。

 ふたりの1年生は、猿橋善宏部長が「2年後を見越して、という感じで使われているわけではありません」と語るように、実力で先発の座を勝ち取っている。

 この日、有本は甲子園初安打を記録し、守備でも軽快なプレーを披露。さらに砂はウエスト気味のボールに対して、身を乗り出すようにスクイズに成功。ほかにもヒットエンドランによる進塁打を決めるなど、派手さはなくても着実にチームに貢献した。

 砂は身長168センチ、体重63キロの小兵ながら、幼少期から有名な選手だった。小学6年時には12球団ジュニアトーナメントの楽天ジュニアに選出。洋野シニア(岩手)に所属した中学3年時には、侍ジャパンU-15代表に選ばれ、U-15ワールドカップ優勝を経験している。鳴り物入りで仙台育英に進学した内野手だった。

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著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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