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【夏の甲子園2025】下級生にポジションを奪われた仙台育英の背番号15・今野琉成が明かす「日本一激しいチーム内競争」の舞台裏 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 今野もまた、1年時からレギュラーとして活躍した経験がある。1年前の遊撃には、守備に定評がある登藤海優史(現・駒澤大)がいたため、今野はおもに9番・三塁手として起用された。1年秋には背番号6を背負い、レギュラーとして東北大会ベスト8を経験している。

 そんな有望選手が、2年生になってからベンチへ。あらためて仙台育英のチーム内競争の厳しさを感じずにはいられない。

 それでも、今野は前を向いている。「自分が一番うまいと思わないと、一番にはなれないので」と、心は折れていない。

 今野には、砂以外にも心に秘めたライバルがいる。

「去年の夏に横浜と練習試合をやったんです。自分はサードで出たんですけど、同じ1年生の池田聖摩はショートで出ていて。もともと有名な選手なので名前は知っていて、初めてプレーを見たら自分より全然うまくて。そうしたら、須江先生から『いいライバルじゃん』と言われて。それから自分のなかで、勝手にライバルと思ってやっています」

 池田は確実に2026年のドラフト候補に挙がる逸材だ。遠投120メートルの強肩に、高い運動能力を生かした身のこなしが映える遊撃手。今春センバツで優勝を経験し、全国区の知名度がある。

 2ケタの背番号をつける今野にとっては、今は遠い存在かもしれない。それでも、1年後はどうなっているかわからない。今野が砂からレギュラーの座を奪い返す可能性も十分にある。

【3年生と同じ思いで戦う】

 砂もまた、今野の実力を認めている。

「今野さんが中学生の頃から存在は有名だったので、知っていました。育英でも、去年からレギュラーで出ていて、『うまいな』と思っていました。一緒にノックを受けさせてもらうと、スピードはあるし、簡単にエラーしない粘り強さを感じます。肩も強いし、本当にすごいなと思っています」

 仙台育英の競争が激しいのは、内野だけではない。外野陣も甲子園初戦は左翼・土屋璃空(3年)、中堅・原亜佑久(3年)、右翼・田山纏(2年)が先発出場したが、ほかにも佐々木義恭(3年)や倉田葵生(2年)も同等の力がある。とくに佐々木はチームの主将であり、中軸を任された実績まである。

 さらに言えば、ベンチ入りメンバー20人の枠に入りきれなかった選手のなかにも、高い能力を秘めた選手がいる。須江監督は3投手の名前を挙げた。

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